正しい天女の過ごし方(8/8)
……眠れなかった。
翌朝、私はふらふらになりながら昨日紹介された小松田さんとかいう人を待っていた。
何故私がふらふらなのか、それはあの徳之丞とかいうボケ侍が一晩中叫びっ放しで寝不足だからだ。
もうマジお前の未練とか知らねぇよ興味ねぇよ。私じゃなくて余所に当たれよ寺とか神社とか。除霊系は専門外だよ、取り憑かれ系なんだよボケ!!
結局明け方に私が折れたけどな!もう未練でも何でも付き合ってやるよ!侍しつこいクソったれ!!
これだけでもふらふらなのに、今日に限って色とりどりの忍者がやたらと絡んでくるのだ。何なんだよ何がしたいんだよお前ら。
「お美しいですね」「甘味は好きか」「町へ行かないか」って一体何なんだこの空回り集団は。大体、どの口が私を美しいなんて言ってやがるんだ。行き過ぎたお世辞は逆に悲しいんじゃボケ!!
あと言っとくけど、私の名前は坂吉天女じゃないぞ。もしかして苗字だけしか名乗らなかったから勝手に名前付けてんの?そうなの?つーかセンスないなマジで。
「天女様、ここにいたんですね」
『はあ』
また来た。
今度は緑の忍者だ。よく見たらこいつも目の下に隈があるぞマジか。もしかして仲間か。そうなのかそうなんだな。
「天女様は午後はお暇ですか?よろしければ俺と町へ……」
『あ、なんて言うか、寝た方が良くないですか。お互いの為に』
みなまで言うな。
お前の真の思いは伝わった。
寝たいんだろ?霊に邪魔されずゆっくりと寝たいんだろ?うんうん、私もだ同士よ。いや、同志よ!
『もりもり君、貸しましょうか?』
「……は?」
ん?何その微妙な顔。
もりもり君を貸して欲しいんでしょ?あれ初回限定で効果抜群だから。え、違うの?
何なんだ、なんでそんな納得出来ないような顔してるの。
一体私にどうしろっていうんだ。