危険な日のち安全な日(4/6)
うーん、どうしよう。
うーん、うーん……、
「雷蔵?」
「えっ、あ、良太郎」
僕が悩んでいると、良太郎が前方から歩いて来ていた。
そうだ、ちょっと良太郎に相談してみようかな。
「あのさ、良太郎」
「ん?何だい?」
優しげな表情で僕を見つめる良太郎。決して急かす事もなく、僕が話すのを待ってくれている。
「僕、良太郎みたいに、フォローに回りたいなーと思ったんだけど、ね?みんなを応援したいから、誰のフォローをしたら良いか悩んじゃうし、だいたい僕なんかがフォローを出来るかも、分かんないし、その、なんていうか」
うわあああ、なんか何言ってるか分かんなくなってきちゃった!
「ははは、顔赤いよ?雷蔵は可愛いんだね」
「えっえええぇぇぇっ!!」
なっ、何言ってるの良太郎?!
「なななっ何言ってるの?!僕なんてムサいよ!ムサ苦しいよ!いや寧ろクサいよ!あれ臭くはないか、ん?でもいい匂いはしないと思うし、うーん、」
僕が悩み始めると、良太郎がポンポンと頭を軽く叩いた。
「ゆっくり考えたらいいんじゃないかな?雷蔵は優しいから、フォローしようと意識しなくても、そのままで大丈夫だよ」
良太郎は相変わらず優しげな表情をしている。ほんと、良太郎はすごいなぁ、やっぱり憧れるよ。
「あ ありがとう、」
良太郎に相談して、良かった。
「それじゃあね」と去って行く良太郎の背中を眺め、とりあえず今日は三郎のお手伝いでもしようかな。天女様を落とせなくて苛ついているみたいだし。
………天女様、かぁ、
誰が狙いなのかもいまいち分からないし、ちょっと変わってるし、何もなければいいけど。
僕は、遠くから徐々に聞こえてくる「雷蔵ぉぉぉぉっ!遅いから迎えに来たぞぉぉぉぉっ!」という声にクスッと笑いを零した。
この変わらない日常が崩れない事を、密かに願ながら。
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