危険な日のち安全な日(3/6)
さすがの私もトイレの場所は覚えた。言っとくけど、朝のは仕方がない。だって塩を被るために、ほら、神聖な場所にね?
現在は、ちょっかい出してくる霊共はいない。野次を飛ばしてくる霊共はいるけどね。
偶然、本当に偶然ね?貧乳だなんて言う霊が一匹いてね?塩ぶん投げてやったわ。
ハッ、ざまあ!
部屋への帰り道で、昨日、部屋まで案内してくれた黒い忍者服の人を見つけた。
多分だけど、黒い忍者服の人は教師なんじゃないだろうか。あの人結構若そうだけど、童顔のオッサンだったって落ちもあるよね、多分。
とにかく、あの場に居たって事はある程度偉い人だよね。さすがに今日はちょっと幽霊怖いし、あんまり動きたくないけど、世の中ギブアンドテイクって言うじゃん?成り行きで仮住まいさせて貰ってるし、ギブの方しないとさ?何かサクッと殺られそうじゃない?お前のせいでポルターガイスト多発なんですけどみたいな。
『あの、すいません』
そうと決まれば話は早い。何かギブの方があるかどうか聞けばいいし。
「ああ、天女様。どうされましたか?担当の忍たま達はいないのですか?」
何かやたら質問してくるなこの人。
どうもされてないし、担当とかいうあの二人は追っ払ってるし、スルーでいっか。
『そんな事より、ここにいる間にお手伝いとか何かする事あります?仮住まいなんで』
「あの天女様、……塩、絡んでますよ」
スルーしろよ。
私がスルーしたお返しか?スルー返しか?
大体、私が好きで塩振りかけてるとでも思ってんの?馬鹿か。こちとら命かかってんだよ。塩味のおにぎりじゃねぇんだよボケ。
『つまりおにぎりとでも言いたいんですかそうですか。生憎私は人間ですので海苔も具も入りませんからご安心下さい』
「…………」
何だその顔は。
私の質問には答えないのか、どうなんだ。ギブはしなくていいのか、どうなんだ。
『で、何かありますか』
そこまで万能じゃないから難しい事は出来ないけどね。掃除とかなら出来そうだし。
「あ、はい、えっと、学園長先生に確認して、またお伝えしますね」
『助かります』
もう用は済んだし、部屋戻るか。戻ってもすることないけど。
「おーい天女サマー!」
声のした方を見ると、髪の毛すごい忍者と、睫毛の忍者がこちらに向かって来ている。あれ、名前なんだっけ。
「遅いから心配しちゃったー」
「土井先生、こんにちは」
やっぱこの人先生か。まあ、だから私に関係あるかっていうと、全くない。
「俺美味しいお饅頭持ってるんだー!俺たちの部屋で一緒に食べよ?」
「知っているでしょうが、俺たち同室なんですよ」
『へーそうなんですね』
とりあえずどうでもいい。
私は「行きましょう」と手を引かれ、彼らについて行く。
「ねーねー、天女サマ」
髪の毛すごい方の忍者が私の手を引きながら振り返った。
そういえば何で手握ってんの?
「塩絡まってるよ」
うん、だからスルーしろよお前ら。
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