真夜中の緊急会議(3/5)




 
 
 
くっそ、あの天女。



私が好きで天女共の手を握ったり、食いかすを口にしたりしていると思っているのか!



まあ思っているだろうな!!







それにしても、今回の天女はちょっとおかしいんじゃないのか?



手を握れば照れるだろ。



至近距離で口元を拭えば照れるだろ。



なのに、










なんだあの態度は!!!





くそっ、五年は眼中に無しという事か。ならば逆転するだけだ。そっちの方がボーナス得点が高い。



要注意は兵助だ。



あいつ豆腐にしか興味ない癖に、前回もかなりぐいぐいきていた。あの天女が私贔屓でなければトップにならなかったかもしれない。



あとは、立花先輩か。



あの人は油断ならない。あの人こそ魔性の男だ。





私と雷蔵が屋根裏で見張っていると、山本シナ先生が天女を風呂へ連れて行った。そのタイミングで兵助が交代に来たので、天女が風呂に入っている間に飯と風呂を済まさなければならない。



まあ天女共はみんな風呂が長いから、飯も風呂も余裕で間に合う。



飯をさっさと済ませ、雷蔵と風呂へと向かっていると良太郎と鉢合わせた。



「三郎たちは今から風呂?」

「ああ、少し前に天女が風呂に行ったからな」

「良太郎は上がったの?」

「いや、もう少しあとで入るよ」



にっこりと笑う良太郎は爽やかな男前で、女は放っておかないだろう。悔しいが、あのタレ目は妙に色気がある。



良太郎は天女課題には興味ないようで、よく私たちのフォローに回ってくれたりする。



良い奴だ。



良い奴だからこそ、もし本気で天女を落としに来たら即負けそうだ。



「じゃ、ゆっくり……は出来ないんだったな。そこそこゆっくり風呂入れよ」



そう言って良太郎は去って行く。



「やっぱ良太郎って憧れちゃうよ。一つ年が違うだけなのにね」

「まあな、私が女なら良太郎のような奴と祝言をあげたい」

「………え、」

「え」






おい雷蔵、何だその目は。






先ほどまで雲で隠れていた月が現れ、私たちを照らす。






「三郎、そう、なんだ」

「え」






違うぞ、私は男色じゃないぞ。






「雷蔵、違うぞ。違うからな」

「う、うん」






きょ、距離を置くなーーーっ!









 
* * *










天女様がやって来た。



三郎は、前回の天女様が五年生狙いということもあり、成績はトップに輝いた。兵助は惜しくも二番だった。



あの二人は結構成績を気にしているが、僕は実を言うとどうでもいいんだよね。



そもそも僕は、今の成績だったら追加点がなくても十分だし。それよりも次こそみんなで進級して、みんなで卒業したいだけだ。





あ、別に隠してる訳じゃないんだけど、僕は落第忍たまなのだ。



六年生に進級するための課題が他の忍たまより簡単だったので、油断してしまったのが原因である。



油断大敵とか油断禁物って言葉があるけど、あれ本当マジだよ。



落第してしまったのは仕方ないし、僕は特に気にしてない。だって今の級友達は良い奴ばかりだ。



ということで、僕は成績がちょっと……いやかなり危ない八左ヱ門のフォローに回ろうと思う。



八左ヱ門は人懐っこい感じは女受けするけど、何というか、デリカシーがないというか、あと意外と女に対してはヘタレというか……。



まあ、みんなで進級する為にも一肌脱ぐとしますか。



八左ヱ門、お前のフォローはこの良太郎に任せろ。






…………なんちゃって、ちょっと格好つけてみた。けどフォローはちゃんとするからな、八左ヱ門。




 








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