盛りまくれ、塩!(4/5)




 
 
 
良い湯でした。



あのご飯事件の後、山本シナさんって人にお風呂に案内された。



ほんと良い湯でしたよ。



けどさ、何で忍者の時代にシャンプーとかあんの?



思わず「欧米か」ってツッコんだわ。ちょっと古いかなとか思ったけど、過去の人からしたら最先端だし別にいいよね。



山本さんに数枚の着物を頂き、寝る用の白っぽい着物に着替えをして貰う。



うーん、着付けって難しい。



部屋に戻り、改めて自分の着ている着物を見る。



湯上がりに結んでいた髪の毛は解き、長い前髪が垂れ下がる。乾ききっていない髪の毛からポタリと水滴が落ちる。



これただの霊やん。



白い着物で髪の毛垂れ下がってるとか典型的な霊やん。



むしろこっちの方が同類と思われて安全じゃね?



いや、ダメだ。



前失敗したじゃん。



小学校の頃に霊に襲われた時、頭に白い三角のやつ巻いて「私霊だから」って言ったらクスッて笑われたじゃん。そして連れて逝かれかけたじゃん。



借りた手ぬぐいで髪の毛をガシガシと拭き、部屋の中央に布団を敷く。



鞄から小皿と塩を取り出すと、まず部屋の四隅にサラサラと盛っていく。



初めの頃は綺麗なお山に盛れなくて効果が半減していたけど、今では美しい富士山に盛れている。



伊達に塩盛ってないからね。何年この塩と夜を共にしたと思ってるんだ。盛り歴イコール年齢だよ畜生。



部屋の四隅が終わると、最後は布団の周りに皿を並べて塩を盛る。



よし、完璧。



全然霊が見当たらないし余裕っぽいけど、念には念を入れて置くべきだ。



盛り塩に囲まれた布団に鞄をもって潜り込む。もう数珠は外した方が良いような気もするけど怖くて外せない。



でもさっき風呂場で、ドア開けた瞬間石鹸踏んで転んだし、深くもない浴槽で溺れかけたり、脱衣所の床が抜けて折れた木片に刺さりそうになったりと、不運が働き始めている。



数珠の効力の反動としてはちょっと大きめの不運ということは、そろそろ外さないとヤバいレベルまできている。



あとは寝るだけだし、霊もそんなにいなさそうだし………。



数珠、外しとこうかな。



これ以上でっかい反動が来たらきっと私死んじゃう。神隠しより酷い事になっちゃう。



私は付けていた数珠を鞄にしまい、盛り塩に囲まれて眠りについた。




 








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