不運というより不幸(4/4)
目的地に着いたのか、なんか笑ってる黒い忍者服の男の人が立ち止まった。
「ここが五年生の長屋になります」
五年生?
なに、ここ学校?
え、ヤバいよねこれ。私死ぬくね?これ絶対私死ぬくね?だって学校とかお化けの宝庫じゃん。そんなの「私もアッチに連れてって」状態じゃないか。
あ、待てよ。普通の学校なら大丈夫かもしれない。
便所の花子とかなら「遊ぼう」とか言ってくるだけだし、小学校の時「遊ばねぇよ」ってドア閉め返してから声かけられないし。
……忍者服着た人がいる学校なのに普通なんて事あるのか?
そもそも何の学校?
まさかとは思うけど、
『あのすいません、ここって忍者の学校ですか』
「え?はい、天女様のご存知の通り忍術学園ですが」
は、忍術学園?
何その中二病みたいな学校。
はは、ウケる。
あ、笑えないや。
なんか忍者とか死亡率高そうだから、きっとたくさんいらっしゃるよ。
「この部屋は以前の天女様達も使っていましたので、置いていかれた物は自由に使って下さっまてもかまいません」
私が使わせてもらう部屋の前まで来ると、軽く説明をして障子を開けた。
『…………』
「んー、あ、また新しい天女だ」
人、いるんですけど。
思いっ切り寝転がってるし。
『あの、相部屋はさすがに……』
私が案内してくれた人に他の部屋がないか聞こうとしたら、不思議な顔をされた。
「え?」
『え?』
「え?」
何故か部屋の主まで反応した。
え、何。
私変なこと言った?
「相部屋……ですか?」
『………え?』
「何あんた、俺見えんの?」
寝転がっていた彼が、興味有り気にこっちに寄ってきた。
『うぎゃあぁぁぁぁ!!!』
私は思いっきり後退り、縁側から落下した。
マジかよっ!!!
ここでも霊と同棲生活っ?!
「だっ大丈夫ですか天女様!」
『痛、尻痛、あ、でもお気遣いなくどうぞ話進めて下さい聞いてます』
私は痛む腰を押さえながら立ち上がると、体に着いた土を払った。
「安心しなよ、あんたが住むなら出てくから」
視線を上げると、寝転がっていた彼がわざとらしく壁をすり抜けて去って行った。
「天女様?」
『取り乱してすいませんでした、この部屋ですねありがとうございます』
「いえ、もう少ししたら担当の者が来ると思いますので」
『はいそうなんですね、ここに住んで良いんですよねありがとうございます』
なんか笑ってる人が軽く頭を下げて、元来た道を戻って行った。
『…………はあ、どうしたらいいんだこれ』
とりあえず部屋の中で座り込んだ私は、混乱する頭で今の状況を整理することにした。
「見える天女か、今回はおもしろくなりそうだね」
そんな私は、少し離れた場所で見ていたさっきの彼に気付くことはなかった。