仕返しと遭遇4 (4/11)




 
 
 
誰かにつけられていた。



何ていうか、気配ぐらい消しなよって言いたくなるくらいバレバレな尾行だった。



うーん誰だろ、一年生かな。








座学の授業が自習に変更になったので、穴を掘りに外に出てきたんだけど、先程から尾行されている。



殺気とかもないし、こんなもろバレな尾行をするくらいだから害はないだろう。多分。



特に気にする事なく放っておいたら、尾行していた人が先回りをするためか前方へ移動した。



うーん、何がしたいんだろう。



とりあえず、無視かな。相手のしたいことが分からないから、何の対応も出来ないし。



そう思いながら、一度立ち止まり絶好の穴掘りスポットを探す。



うん、あそこの辺りにしよう。



そう思い、一歩を踏み出した。



その瞬間、




ズボッ、





「……っ!?」





僕は、落ちた。



いきなり落ちた。



デカい穴へと。








「………おやまぁ、」



ありえない。



穴の広さからして、さっき立ち止まっていた場所も含めて穴が掘られている。ありえない。



それ以前に、絶対ここには穴なんてなかった。



僕の穴掘り小僧の名は伊達じゃない。今では、落とし穴に関しては印がなくとも土を見れば大方は認識できる。



しかも、この掘れ方……綺麗すぎる。



掘ったというより、ここだけくり抜かれたという感じだ。



僕が穴の底でで土の層に触れていたら、上から影がにゅっと出てきた。なんか前にもあった気がする。いつだっけ。



『大っ成功ーーっ!』



顔を上げると、どや顔をした昨日の訳ありの通行人さんがいた。



そうだ、昨日もこの人が穴の外にいたんだった。今回は逆光じゃないから、ちゃんと見える。



『仕返しだよ、キハチロー』



訳ありの通行人さんは、そう言うと去って行った。



穴自体はそんなに深くないから簡単に出られるけど、



………悔しい。



穴に落とされたのが悔しい。



…………悔しい。


 
穴が綺麗でなんか悔しい。







……あと、目も、きれいだった。




目だけね。



 







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