僅かな変化1 (1/4)
「洗濯の仕方を教えますね」
『はーい!』
翌朝も、ドイ先生がやって来た。
ホント、屋敷しもべみたいだ。
“一家に一人、ドイ先生”
……なんつって。
こんなのん気な事を考えていられたのは、井戸に着くまでだった。
『あれ、洗濯機は?』
マグルが洗濯をする時に使う“洗濯機”というマグル用品。魔法じゃなく、電気で洗うらしい。
「天女様の時代の物はありませんので、手洗いで洗います」
ドイ先生が持って来たのは、でっかい桶とでこぼこの板。
な、なんだコレは!
ドイ先生が洗濯のやり方を説明してくれているが、ピンとこない。
「まあ簡単に言えば、ゴシゴシと擦るんです」
『………こする』
よくわかんないけど、面白そう!
『やるやる!あたしもやってみたい!』
ドイ先生からでっかい桶を貰い、井戸の所まで走っていく。
『まずは水だよね!』
今度こそ引っ張り上げてみせる!
覚悟しなさいっ!井戸っ!
あたしは、思いっきり井戸のロープを引っ張った。
* * *
結局、引っ張ったロープは全く引けず、ドイ先生が水を汲み上げてくれた。
調子乗ってすいません。
桶に水を入れ、いざ洗濯をしよとするが、やり始める前からドイ先生にダメ出しされる。
まず持ち方が違うらしい。
ドイ先生から“てぬぐい”とかいう布を借り、言われた通りにゴシゴシと擦る。
なんだ!簡単じゃーん!
「違います」
『え、あれ?』
またもやドイ先生にダメ出しされる。
もう一度、ドイ先生がお手本を見せてくれた。おかしいなー、一緒だと思うんだけど……。
『もう一回させて!もう一回!』
もう完璧でしょ!
あたしはドイ先生のお手本通りにゴシゴシ擦った。これ楽しー!
「違います」
『え、あ、あれ?』
またダメ出し?ウソでしょ?あたし完璧に出来てるじゃん!
もう一度ドイ先生にお手本を見せられるが、絶対間違ってない。
『ちょっとドイ先生!ちゃんと見てホラ!あたし出来てるじゃん!』
「違います」
ちっくしょーーーっ!!
またダメ出しかーーーっ!!
その後、ダメ出しとお手本の繰り返しで、桶とでこぼこの板は没収された。
洗濯物は、ドイ先生が回収しに来るそうだ。
ホントすいません。
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