仕返しと遭遇9 (9/11)




 
 
 
また出るなって言われちゃった。



お昼ご飯のお皿を取りに来てくれたドイ先生から、授業の休み時間にも様子を見に来るからと言われた。いや、脅された!



ううー、ドイ先生め!



ちっともあたしの事を信用してないじゃないか。まァ、部屋からは出るけどね?てへ。



ドイ先生の気配がなくなったのを確認して、そっと廊下を覗く。



よし、いないね!



庭の方へと歩いて行き、話が聞けそうな人を探す。聞き耳だけでは折角の情報もバラバラで、ピースが繋がらないのだ。



『ん?』



遠目にだが、人の塊が見える。群青色の忍者服の忍者が数人と女の子が一人。随時と楽しそうに会話しているので、話しかけるのは申し訳ない気もする。



だってほら、あたしって場の空気ちゃんと読めるから!えっへん!



それにしても、あの女の子キレーだなぁ!あの子も忍者なのかな?もし機会があったら話かけてみよーっと。



「あ、ちょっといいかなぁ?」



急に声をかけられ振り向くと、紫色の忍者服で金髪の忍者が立っていた。今日はこの色によく会うな。



『うん、なにー?』



金髪の忍者はチラリとあたしの頭を見て、ゆっくりと口を開いた。



「えっとね、僕、元髪結いなんだけど」



かみゆい?かみゆいって何だ!



「君の髪がすごく綺麗だったからね?少し触ってもいいかな〜なんて……」

『あたしの髪?』



何かソワソワしてる。え、そんなにあたしの髪の毛に触りたいの?



どうしよっかな、この忍者なら色々聞けるかも。なんたって“かみゆい”だし!よく分かんないけど!



『うーん、ちょっと聞きたい事もあるから、教えてくれるならいいよ!』

「ほんとにっ?!やった〜!僕が知ってることなら教えるよ〜!」



金髪の彼は、ものすごく喜んでくれた。うーん、忍者って髪の毛でこんなに喜ぶんだ。謎だ。









* * *









 
『へぇー、タカマルは途中編入したんだね!』



かみゆいって、どうやら美容師さんのことらしい。現在あたしは、タカマルに髪の毛のお手入れをして貰っている。えへへ、ラッキー!



「訳ありの通行人さんは一週間だけここにいるんだね〜」

『そうなの!よろしくね!』



タカマルからの情報収集するという作戦は大成功だった。



この学校は、忍術学園っていうみたい。生徒の事は、忍者のたまごだから、忍たまなんだって!忍者服は学年で色が分かれてるらしい。



忍者っていうからには、あんまり聞いちゃいけないだろうから、町の方向とか、最近大きな事件がなかったかとかを聞いてみた。



あと、ちょっと気になっている“天女ワード”についても軽く聞いてみた。



やはり天女ワードが出ると、彼らの雰囲気が変わってしまう。



天女というのは、空から落ちてくる女の子の事で、ものすごく魅力的なのだとか。



天女の事を話すタカマルが、だんだん元気がなくなっていく。これは話題を変えた方が良さそうだ。



『でもアレだね!タカマルがいるから、この学校は髪の毛キレイな子ばっかりなんだろうね!』

「……うん、そうだと良いんだけどね」



あ、あれ?話題間違えちゃった?



「聞いてくれる?」

『え、う、うん』



その後、髪の毛が傷みまくっている人がいて大変だという話を延々と聞かされた。何度注意しても、全く手入れしてくれないらしい。タケヤって人と、まさかのドイ先生だった。



『あはは、タカマルも大変だねー』



でも、このタカマルのお陰で助かったかも。



何となくここの学校の事とか時代背景も掴めたし、髪もキレーになったし、一石二鳥だ。わーい!



 







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