仕返しと遭遇7 (7/11)
「あ」
「あ」
『あ』
何だ何だ、なんでこんなに忍者とのエンカウント率高いんだ。
あ、そういえば。
にゅーもんひょーってヤツ書いた後に、人避けの魔法かけるの忘れてた。
「……あんた誰だ」
紫色の忍者服を着た片方が、目つきを鋭くして聞いてくる。もう怖いなー。
『んーっと、あたしはお客さんみたいなものかなー』
「お客……」
あ、今気付いたけど、この忍者服ってキハチローと同じ色だ。
「こんなヤツなどどうでもいいな。私は羽衣さんの午後予定を聞きに行くから、三木ヱ門はそいつと話でもしていろ」
「何だとっ!羽衣さんを町に誘うのはこの田村三木ヱ門だ!!」
何だか言い争い始めてしまった。ちょっと面倒クサいけど、話題変えたらやめるかな?
『ねぇねぇ、もしかしてさ、キハチローと同い年だったりする?』
「……喜八郎、?」
二人の口論がピタリと止まった。おお、話題のチョイスが良かったみたいだ。
「喜八郎を知っているのか」
『んー、まあね。あ!もしかしてキミ達ってキハチローの友達?』
「…………」
あれ、黙っちゃった。もしかして仲悪いのかな。
「喜八郎など、羽衣さんの魅力も分からないうつけ者だ。同じい組としては考えられんな」
「確かに。喜八郎はちょっと頭がおかしい。まだタカ丸さんの方が利口だな」
「もう友などとは思っていない。出来る事なら部屋も替えて欲しいものだ」
『……そう、なの』
なんか、やだなぁ。こういうの。
彼らは、あたしに対する警戒心を解かないまま去って行く。
あんまり深入りするのは、だけど、何だかこの学校、変だよ。
* * *
やっぱなんか、変だよねー。
聞き耳立てていれば、愛おしそうに呼ぶ羽衣さんという名前と、負の感情が込められた天女という言葉が飛び交っている。
羽衣さんってのは人気者だけど、天女っていうのは不人気だ。しかもすっごい嫌われてる感じだし。もしかして悪い人のことなの?
あれ?じゃあドイ先生はあたしに失礼じゃない?
この時、あたしは情報収集に気を取られ過ぎていた。
だから気付かなかった。
背後のドイ先生に。
「……天女様」
『うっきゃあーーっ!!』
不意に背後からかけられた声に、思わず飛び上がる。
どどど、ドイ先生だ!
気配、気配がなかった!
忍者すごいけど怖いっ!!
『あ、あははー、こんな所で奇遇ですなァ』
土井は、ヒナに向けてにっこり笑った。
「そうですね奇遇ですね」
『あ、い、今ね?今からお部屋に帰ろうかなーって思っててね?ほっ、ホントホント!!』
土井の有無を言わせない笑顔で、ヒナは部屋まで連れて行かれた。
これアレだ、強制連行ってヤツだ。
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