仕返しと遭遇1 (1/11)




 
 
 


―――ちょっとヒナ!僕のリリーに何を言ったんだい!いつもより僕を見る目が冷めてるんだけど!

―――うん、ジェームズは絶対変態ドMだから気を付けた方が良いよって。

―――僕はMじゃない!けどリリーがSなら僕はMになってもいい!

―――ねぇねぇシリウス、リーマス。ジェームズがキモい。

―――元からだから仕方ないよ。

―――そうそう、それよりフィルチに悪戯しに行こうぜ。






確かあの後、シリウスがドジを踏んじゃって捕まったんだよね。



あの時のマクゴナガル先生のお説教は長かったよ、マジで。






―――おいヒナ、俺のいちご牛乳知らね?

―――ん?飲んだよ。

―――ちょ、おま、何回目?何回俺のいちご牛乳飲めば気が済むの!なんで隠しても見つけちゃうの?

―――アクシオで呼んだ。

―――魔法チクショォォォオ!!何だよ呼ぶ魔法って!魔法使いチクショォォォオ!!

―――あはは、ギントキ泣いてるー。






ギントキにはお世話になったなー。違う世界に飛ばされて初めて会った人だったし。



江戸の人はみんな優しくて良い人ばっかだった。






―――ヒナちゅわーん!!今日のデザートはサンジ特製レアチーズケーキだよ!

―――わぁ!おいしそー!!

―――ずりィぞヒナ!!おいサンジ俺にもくれ!うめェなこれ。

―――あーっ!!ルフィが食べたァー!!サンジぃぃ、あたしのケーキがぁぁぁ。

―――ルフィてめェッ!!ヒナちゅわんに謝れェェェエ!!

―――うるっさいわよアンタ達!!今航海図書いてんだから静かにしてッ!!






ナミの拳骨は痛いんだよね。ゴム人間のルフィが羨ましかったよ。



でも、こんなあたしを仲間だって言ってくれたんだよね。






―――ヒナよ、奴が血眼でお主を探しとる。すまんがまた別の世界に行って貰わねばならん。






ダンブルドアの声と共に、あたしの視界は真っ白になった。









『………ん』


 
目が覚めると、少し肌寒く外は明るくなり始めていた。



『朝、か』



グッと背伸びをしながら部屋の外へ出るヒナ。



少し空を見上げて見つめた後、何時だろうと腰に付けたチェーンを持ち時計を見た。



『あ、時間設定してないや』



軽く周囲を見渡し、時計に向かって杖を一振りした。



時計の秒針がぐるぐると回転し、しばらくするとカチ、カチ、と正常に動き始める。



『………四時』



ヒナはもう一度空を見上げた。



うーん、どうもネガティブ思考引きずっちゃってるみたいだね。



『というわけで、二度寝してスッキリしますか』



バフンと布団に寝転がる。



今日は情報収集しなきゃいけないから、ドイ先生に見つからないようにしなきゃな。



そんな事を考えながら目を閉じた。









* * *









 
「天女様、おはようございます」



返事ないが気配はある。



そうだな、もうさすがに部屋から出たりしないだろう。昨日何回も言ったし、それにこんな朝早くに起きているはずないか。



今の四人目の天女も、忍たまに起こして貰っているのだから。



「失礼しま………す」



土井が障子を開けた瞬間目に入ったのは、布団もかけずに寝ているヒナの姿だった。



ただ問題なのは、ミニスカから生足剥き出しな際どい光景。



そして二つに結ばれていた髪の毛は解いているため、少し乱れた感じが妙に色っぽいという事。



思わず硬直していた土井が、ハッと我に返った。



「なななっ、な、ななんて格好で寝てるんですかっ!!」



本当だったら、昨日の時点で着物を渡せているはずだった。



この自称魔女の天女が部屋から脱走したりしなければ。



全く、昨日の脱走といい、今日の乱れた格好といい、一体何なんだこの自称魔女の天女は!!


先ほどの土井の絶叫で起きたのか、ヒナがのそのそと起き上がる。



『あ、ドイ先生おはよー』



余りにものん気なヒナに、ついずっこけてしまった。



当の本人は「何で転んだの?あははー」と笑っている。



あんたのせいだあんたの!



あれ、そういえば……。私がずっこけたのなんて一体いつ振り、ってそんな事より!!



「おっ……おはようじゃないですよ!!なっなな何ですかその格好は!?」

『これ?学校の制服だよー』



なんでこんなにのん気なんだ!



「わっ、若い女性がそんなに素肌を出すなんてっ!!」



私は、彼女の剥き出しの足に指を指した。



『素肌?ああ、足のこと?』



彼女は近くに置いていた黒い布を羽織った。昨日も羽織っていた布だ。



『これでいい?』



これまでの天女は“せいふく”とかいう未来の着物が露出があるという自覚があったので、すぐ着物になってくれた。



それに一言「似合う」といえば猫なで声で媚びてきた。


 
いつまで何も知らない振りを続けるのだろうか、一週間といえどこの自称魔女の天女を相手にするのは先が思いやられる。




 







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