魔女と天女の計画5 (5/7)




 
 
 
「はい、A定食お待たせ!残さず食べてネェー」



夕食の時間帯になり、食堂の受け渡しを手伝う羽衣。



皿洗いとか、材料を切ったりする仕事も出来れば手伝ってって言われてたけど、ぶっちゃけムリ。



だって包丁は指切ったらイヤだし、皿洗いなんてネイル剥げちゃうしムリ。



注文聞いて渡すのも大変なんだから、これ手伝ってるだけでも感謝して欲しいんですケド。





「A定食お願いしま〜す」

「………B」



羽衣がボンヤリ考えていると、所々汚れた装束を着たタカ丸と綾部が注文していた。



「タカ丸クンと喜八郎クン!お昼会わなかったけど、ご飯ちゃんと食べたのォ?」



注文された定食を渡しながら心配そうに二人を見つめる羽衣。



「うん大丈夫〜、ちょっと用事があって遅れたんだぁ」

「…………」



タカ丸は返事をしてくれたが、綾部に至っては振り向きもしない。




喜八郎クンなんでコッチ見ないの?




……そっか、余りにもカワイくてキレイだから直視出来ないんだ。




なァーんだ、喜八郎クンを落とすのも簡単そうじゃない。




「そっかァ、じゃあ用事がない日に一緒にご飯食べようネ」



バックに花があるくらいカワイイ笑顔で笑っているワタシに、タカ丸クンは「うん、そうだね〜」と返事をして、喜八郎クンが座っている席に向かった。




ワタシを警戒している忍たまなんて、今では片手で数えるくらい。



その忍たま達も、もうすぐワタシに恋するの。




後は、生け贄になるもう一人のヒロインを見つけるだけ。



くのたまは役に立ちそうにないし、使えそうな女は今の所いない。




最悪、生け贄無しで忍たま達にワタシを取り合って貰わないといけないから、ベタボレになって貰わなきゃネ。









* * *










 
「………ご馳走様」



五年生の四人と離れて食べていた鉢屋が、食べ終わったお盆を返却した。



お世辞でも愛想が良いとは言えないくらい、羽衣を睨んで去って行く。



「あっ、三郎クン!」



鉢屋は、立ち止まるが振り向く事はない。用があるなら話せと言われているようだ。




………なんかムカつくゥ。




「あ、あのね、ワタシ三郎クンとあんまりお話したコトないから今度ゆっくり町にでも行かない?」



遠慮がちに、そして少し照れたようにお願いするワタシは、きっと誰にも断る事は出来ないだろう。



「……………機会があれば」



それだけ言うと、鉢屋はスタスタと歩いて行った。








まだ警戒されてるなァー。




でも、あそこまで警戒されると逆に燃えてきちゃう。



絶対にワタシに落として、ワタシしか考えられなくしてあげる。



「三郎がごめんね、羽衣さん」



雷蔵が駆け寄って来て、先ほどの鉢屋の態度を謝罪する。



「ううん、いいのォー。まだ一ヶ月しか経ってないのに、ワタシが馴れ馴れしいから……」



しゅん、とカワイく落ち込んでみると、雷蔵クンは慌ててワタシを慰める。



同じ顔なのに、どうして三郎クンはさっさと落ちてくれないのォ?



逆ハー補正つけたのは忍者の世界だからなのかもネ。



三郎クンみたいな天才忍者には逆ハーの効果も、ワタシの魅力も効きにくいのかも。






いや、ありえない。






ワタシの美しさと魅力に勝るものは絶対にナイのよ?






きっと忍者だから、すぐに落ちないの。じわりじわりとワタシの美しさに、魅力に、全ての虜になるのよ。



「食堂のおばちゃん」

「ああ、土井先生。話は聞いてますよ」



ワタシが雷蔵クンと話していると、いつからいたのか土井先生と食堂のおばちゃんが小声で何やら話している。



雷蔵クンと話し終えたワタシは、何となく気になったので聞き耳を立てる。



「羽衣さんご馳走様です!」

「あ、ハァーイ。ウフフ、おいしかったァ?」



土井先生達の話も気になったが、目の前の忍たま達への会話の方が大事だ。





ま、ワタシには関係ないしネ。




羽衣は土井先生と食堂のおばちゃんを気にする事なく、食べ終わった忍たま達との会話を楽しんだ。




 







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