小娘の脱走1 (1/6)




 
 
 
薄暗い場所で、三人の教員達が密談をしている。その内容は、ついさっき現れた自称魔女の天女。



「やはり、彼女も天女と同様にこの世界を知っているようです。恐らく、二人目のやり方かと」

「数年前の天女降臨から始まったこの地獄は、何時まで続くんでしょう……」

「新野先生気をしっかり。確か一週間という約束でしたな。この短期間ではあまり好き勝手は出来ないと思うのだが」

「しかし山田先生、狙いはどうやら四年い組の綾部喜八郎のようなのです」

「なんと、本当ですか土井先生!彼は幸いにも今の天女には惑わされていない、どうします?伝えますか?」

「とりあえず監視しつつ、必要時に妨害をした方がいいでしょう。余り賢そうではないし、勘もそこまで良くはないと思います」



必要な情報交換を行った彼らは、何事もなかったかのように授業の準備やらに向かった。









* * *









 
俺は思わず耳を疑った。



また新しい天女が来ただと?



同時期に二人も現れるなんて、一体どうすればいいんだ。




唯でさえ、今回の天女は厄介なのだ。



二人目の時もそうだったが、三人目の天女の件で、天女に対する警戒心は忍術学園内で寄り一層強まった。



なのに、今回の四人目の天女が来た途端、それが一瞬で崩れてしまった。



恐らく、今までの天女とは比べものにならない程強力な妖術か何かで惑わされているに違いない。



幸いにも、一部の忍たまと教員達には効いていないようで、自我が保てている。



これは、正気を保っている一部の忍たま達に報告して、警戒態勢に入るべきだ。



特に、四年い組の綾部喜八郎にはすぐに報告せねばなるまい。



あのマイペースな性格のお陰か、今までの天女にも惑わされていないので今回もそうあってほしい。



そう思いながら、綾部喜八郎を探すためその場を立ち去った。




 







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