もう一人の天女5 (5/7)
「そんなの信じられませんよっ!!」
「学園長先生!こんな怪しい奴今すぐ追い出してしまいましょう!」
「きっとあの天女みたいな妖術を……、きっと幻覚です!」
「信じられないわ………」
騒ぐ教師陣。
ここに集められたのは、人の良さそうな男に髭を生やした厳しそうな男、白い忍者服着てる男にキレイなお姉さん。
とりあえず、披露した魔法を信じないらしい。
『ちょ、今しっかり見たでしょー!つか天女じゃなくて魔女だよ!!』
ブーイングをとばす教師陣に食ってかかる少女。体つきといい、怪我の一つもない綺麗な肌、ただの少女にしか見えない。
つまり、あの天女達と何ひとつ変わらない、同じ天女だ。
『もう!うるさい!シレンシオ(黙れ)!!』
少女は再び木の棒を取り出し、騒ぐ教師達に向けた。
「………っ!!」
「?!」
「……っ!!……っ?!」
『ちょっと黙っててよ!まだ話の途中なの!!』
主にうるさかった男教員三人は、いきなり喋れなくなったため、訳も分からず慌てふためいている。
いくらプロ忍者でも、こんな摩訶不思議な現象が起これば慌ててしまうだろう。
その不思議な光景に、学園長達も目を見張った。
信じたくないが信じざるを得ない状況とは、こういう場合の事だろう。
* * *
自己紹介も魔法も説明した。
でも一番大事な事をまだ言えてない。
そう、あたしがヴォルデモートに狙われている“危険因子”だということは言わなくちゃいけない。
もう、誰かが傷付くのは嫌だ。
長居はしないから、必要ならちゃんと忘却術もかけて“あたしが居た証拠”を全て消して出て行く。
だから、この世界を把握する少しの間だけ………
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