もう一人の天女4 (4/7)
もう何度目かになる異世界逃走劇。
初めて異世界に飛ばされた時は、自分も相手もパニックになって大変だった。
しかし、ヴォルデモートに見つかり死喰い人(デス・イーター)が攻めて来て大騒ぎになる度に、ダンブルドアが再び異世界に飛ばした。
この繰り返しで、異世界を飛び回って、そこの住人に迷惑を掛けまくっている。てへ。
魔法使いって、やっぱりどこの世界でも異質みたいで、正体を隠したりバラしたりするタイミングが難しい。
だが、今回の世界では先に言っておいた方がいいと考えた。
もちろん、全員ではない。
初めてあったオジイチャンは、自分に対しての殺気と警戒心が異様に鋭かった。
普通の民家に来た感じではない。
交渉したところ、あたしの話を聞いてくれると言ってくれたので、軽く情報収集すると………
なんと昔の日本で、忍者を育てている学校だというじゃないか。
そして、運の良い事に、このオジイチャンは学校の校長先生みたいなものらしい。
………という事で、信頼できる少数の教員に集まってもらい、事情を説明したいと申し出た。
少し悩んでいたが、了承してくれた。
その伝達力は正に音速の様に早く、風のように集まる教員達。
部屋中に充満する殺気と警戒心に、少しでも油断するとバッサリ殺られそうだと感じるヒナ。
最後の一人であろう教師が入って来るのを確認すると、人避けの呪文と防音魔法を静かに唱えた。
* * *
『えっと、初めまして。ヒナ・フェリットです』
「……ふぇりっと……という名なのか?」
あ、そうか。日本人はファーストネームが後だった。おかしいな、ギントキ達には通じたんだけどなー。えっとじゃあ「フェリット・ヒナ」になるってこと?なんか変なのー。あ、母さんの昔のファミリーネームを言った方がいいのかも。
『すいません、あたしハーフなんです。改めまして、黒峰ヒナと言います』
鋭い警戒心と鋭い殺気のコラボレーションを肌に感じつつ“フェリット”はファミリーネームで、自分が日本人とイギリス人のハーフだと説明する。が、今度は「はあふ?」と首を傾げられてしまった。
うーっ、伝わらないよー!
オジイチャンとか黒い服の先生らしき人達から“南蛮”とか良く分からない単語が出てきてチンプンカンプンだったけど、とりあえず「そうそう」とか言って頷いた。
テキトー過ぎたかな?
いっか、だって通じないんだもん。
“フェリット”って言うとみんなが「?」ってなるし、母さんの“黒峰”っていうファミリーネームを借りる事にした。心の中で「いいよね母さん」と問うと、一瞬だけ母さんに頭を撫でられ「いいわよ」と言われた感じがして心がポカポカした。
勿論、今はそんなほんわかムードになってる場合ではない。というかそんな空気は一欠片もない。
特に、今から言わなければならない魔法に関しては………
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