もう一人の天女3 (3/7)
* * *
――――パッ。
そんな感じの音だと思う。
忍術学園、学園長の大川平次渦正が、いつもの様にのんびりと茶を啜っていた時の事だった。
『……わっ!』
ドサッ、
目の前に一人の女の子が現れた。
そう、いきなり。
『…………』
「…………」
お互いに目が合い、固まる。
『……ど、どうもー』
何の警戒心もなく、へにゃりと笑う少女に、学園長の警戒が一瞬薄くなる。
『あたしスゴく怪しいと思うけど、お話聞いてくれますか?』
殺気を纏った警戒心を感じていないのか、少女はケロッとしたまま学園長を見据えた。
この黒い布に包まれた怪しい少女に少し興味を持ち、殺気だけ消した学園長はニヤッと笑う。
「………よかろう」
返事を聞いた少女は、パッと明るい笑顔になり「ありがとうございます!」と頭を下げた。
「……っ!?」
その笑顔は、この数年の間、生徒達から何度も消えた太陽の様な笑顔だった。
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