うわさの先輩




 
 
 
帝丹高校三年に、変な奴がいる。



それは帝丹高校で有名な話である。



彼女の名前は、追田ちよ子。



性別、女。



追田といえば、鈴木財閥と同様、知らぬ者がいないほど有名な財閥である。



しかし、追田財閥は娘と息子の二人の子どもしかおらず、追田ちよ子はただの同じ苗字なだけというのは皆が知っていた。



「あ、追田先輩だ……」



教室の窓から見えた先輩を目で追う。帰宅部なのは知っているが、少しばかり帰るのが早い。チャイム鳴ったばかりで、まだ帰りのHRも終わってない時間のはずなのだが。



「蘭ー、何見てんの?」

「あ、園子」



窓から外を見ていたら、友人の園子に呼ばれ振り返る。



「ははーん、さては旦那の工藤君の事でも考えてたのかなー?んん?」

「ちっ、違うわよ!追田先輩がいたから……」



私の言葉にチラリと窓の外を見る園子。



「ああ、追田先輩、」



追田先輩を見つけた園子のテンションが下がる。



「あの先輩って変よね。工藤君といい追田先輩といい、頭の良い人ってみんな変なのかしら」

「園子、言い過ぎよ」



確かに追田先輩は頭が良い。いつも貼り出されるテストの点数は、毎回五位以内に必ずいる。



しかし、その頭の良さと並行して、謎の奇行が多いのだ。



今日も良い例である。授業はちゃんと受けたみたいが、少しばかり帰るのが早過ぎる。



最近の奇行で有名なのは……



国語の授業中に「近所の可愛い子ちゃんが戦隊モノにハマったので、最近の戦隊モノについて授業して下さい」と発言した事とか、掃除の時間に「魔女になると子どもに人気でるのか」と呟いて竹箒を持って図書室で黒魔術の本を読んでいたとか、その次の日進路相談で「ここから飛べたら魔女になります」と言って二階から箒に乗って飛び降りたとか、わざわざ登校指導の日に「着ぐるみは子どもに人気だそうです」と頭だけ着ぐるみをかぶって登校して没収さたとか、その昼休みに体の着ぐるみを着て職員室に「頭を返せ」と殴り込みに行ったとか………、とりあえず子どもが好きという以外は謎だらけの先輩なのだ。


 
直接関わったことはないが、気になる存在ではある。なんというか、オーラがあるのだ。一般人というより、芸能人とか有名人のようなオーラが彼女にはある。



今度、コナン君を話のネタにして話しかけてみようかな。











(やっぱり餌でつるのは駄目よね)
(え?何?)
(でも気になるしなぁ)
(???蘭??)
とある女子高生たちの放課後


 








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