俺たちは忍者だぜ!




 
 
 
「あ、わ……お、思い出したっ」



それは、高校に入って仲良くなった連中とバスケをして遊んでいる時だった。



三郎がパスという名の弾丸を俺の顔面にぶつけ、テンテンとボールが床を転がる。



これは、その瞬間の出来事である。



ちなみにメンバーは、クラスの学級委員長の鉢屋三郎と、その双子である不破雷蔵。苗字が違うのは親が離婚したからで、二人の関係は変わることなく良好だ。



この二人といつものように、騒ぎながらバスケをしていた時………



ピキィーーンッ、と長い針で頭を刺されたような痛みが走った。



そして、俺は思い出した。



あ、いや、別にここはどこ私は誰?みたいな感じのやつじゃないぞ!違うからな!アレだからな!アレ!



あの、アレだ、なんつーか、前世?









「ハチいいいいぃぃッ!!!!」









三郎でも雷蔵でもない声が体育館に響き渡る。その大絶叫にビクッと体を揺らし、声の主の方へと振り返る。



「尾浜、勘右衛門、」



そこには、隣のクラスの学級委員長である尾浜勘右衛門がいた。まだ喋った事はないが、とても明るく人気者だと聞いた事がある。それが、今までの俺の感想。でも、今は違う。そう、全部思い出したのだ。



「勘ちゃんっ!!!」

「ハチっ!!!」



俺は勘ちゃんへ、勘ちゃんは俺へと全速力で走り、ガバッと熱い抱擁を交わす。



「勘ちゃんごめんな!!俺今さっき全部思い出したから……」

「俺もたった今だって!来世でも友達だよとか言ってたのにごめんね!」

「ああああ勘ちゃん!!会えて良かった!!思い出して良かったあああああっ!!」

「本当遅くなってごめんね!!ハチっ!ハチぃぃぃぃぃっ!!」



数百年振りともいえる感動の再会を果たした俺達は、前世は忍者だった。



六年間同じ学び舎で共に過ごし、それぞれ別々の道を歩み、生涯を終えた。



でも卒業の時に誓ったのだ。いつか太平の世で再び巡り逢おう、来世もそのまた来世も友として出逢おうと。


 
「言い出しっぺ俺なのにね!えへへっ」

「本当だよ、あ、勘ちゃんまだ矢羽音とか使えたりする?」

「…………どう?」

「わかるわかる!!ってか勘ちゃんは何で思い出したんだ?俺は三郎のボール顔面にくらってさぁ」

「あー、俺は転んで頭ぶつけた。多分それがきっかけなんだよ。だから兵助も殴ってきた」

「おまっ、何してんのっ?!」



勘ちゃんの即行動するところは、数百年たった今でも変わってないらしい。



「じゃあ後は………」



俺と勘ちゃんは、三郎と雷蔵の方へとゆっくり振り返る。



「ハチ、やっちゃおっか」

「おうよ」



若干引きつった顔をした三郎と雷蔵に向けて、にんまりと笑った。











(俺は仕返しがてらに三郎な)
(じゃあ俺雷蔵ねー)
とある昼休みの体育館で


 








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