毛利さん家のおチビちゃん
聞いてくれ。
最近うちのちびちゃん達が忍者ごっこしてるんですけど。可愛くない?!!!忍者ごっこだよ??!!!よく「忍者ごっこしてくるから公園行くね」とか言って五人できゃいきゃい遊んでるんですけど!!!
もう無理可愛いすぎなんなのアレ可愛すぎてしぬ。
という事で、もう帰ります。
今日はちびちゃん達の忍者ごっことやらを隠し撮りしに行きます。昨日デジカメ買ったしね。SDカードも五枚買ったしね。もう撮りまくりますけど何か。
さて、学校が終わるのなんて待ってる場合じゃないな。よし帰ろう。
私はもうすぐ帰りのHRが始まるであろうという、先生がかもし出す雰囲気を凪払うようにその真横を通って教室を後にした。
* * *
「あの……」
私は、思いきって声をかけた。
ずっと気になっていて、一度お話してみたいと思っていた追田先輩に。
『誰?』
「あ、はじめまして。私、二年の毛利蘭って言います」
『はじめまして毛利さん』
少しお話したいって言うだけなのにすごく緊張する!なんか芸能人と喋ってるみたい!
「えっと、私、一度追田先輩とお話してみたいと思ってて……。私の家けっこう近くなのでお茶でもしま」
『遠慮するわ。今日は忍者ごっこしてるちびちゃん達を盗撮したいから』
せんか?って、え、え?盗撮?!!
「あの、盗撮はちょっと……」
『大丈夫バレないように撮るから』
そ、そういう問題じゃないんだけど……。どうしよう。
あ!そうだわ!
イチかバチか……!
「うちにもちっさい子がいるんです!追田先輩は子ども好きって聞いたからぜひ紹介し」
『行きましょう』
「たくて……え?」
はっ、反応早っ!
とりあえず、私は追田先輩のお誘いに成功したらしい。
* * *
家までの帰路で、色々とお話することができた。
みんなの噂と違って、そこまで変人という訳ではなかった。子どもが好き過ぎるだけだと思う、多分。
家に上がって貰ってからも会話は途切れる事なく、なかなか打ち解けたんじゃないかと思う。
ちなみに先ほど追田先輩が盗撮しようとした子ども達は、訳あって預かっている子ども達のことらしい。とにかく可愛すぎて辛いんだとか。確か名前が、サブちゃんとカンちゃんとヘイスケちゃんとライゾウちゃんとハチちゃん。
何となくコナン君とも年が近そうだし、今度みんなで遊びに行きませんかって誘ってみようかしら。
「〜〜!」
「〜〜!」
そうこう話していると、外が少し騒がしい。
「あ、もしかしてコナン君帰ってきたのかしら」
『え、こなん?』
あれ?今一瞬追田の表情がもの凄く嫌そうな顔に見えたんだけど………
「多分さっきお話した預かってる子が帰って来たんだと思います。追田先輩に紹介しますね!」
『!例の賢めのちっいさい子?!見る!会う!抱っこする!!』
やっぱり気のせい、かな?
階段を降りて、騒がしい方へと向かう。おそらく、いつもの少年探偵団のメンバーで賑わっているのだろう。
「コナン君おかえ……あら?」
私の予想は外れ、コナン君と見知らぬ五人の子どもが言い争っていた。
コナン君が喧嘩するなんて珍しい。
「……あ、蘭姉ちゃんただいま!」
コナン君は険しい表情をころりと変え、にっこりと笑う。
『いやああああ!!!ちびちゃん達がいる!!なんで?!!どうして?!!相変わらず可愛すぎいいいい!!!』
後ろから来ていた追田先輩がいきなり発狂した。なるほど、この子達が追田先輩が預かっている子ども達なのね。
「こんにちは。どうして喧嘩してたの?」
メインで言い争っていた男の子に話かける。斜め後ろに同じ顔があるので、どうやら双子らしい。
「……ちよ子が毛利探偵事務所なんて知らない場所に入って行ったから外で待ってただけだ。そしたらコイツが」
「嘘つけ。覗き込みながら侵入しようとしてたくせに」
「お前の意見など聞いていない」
「おまっ……!!」
「もう!二人ともやめなさい!」
追田先輩を心配してあとをつけて来たってことかしら。ふふっ、優しくて可愛い子ども達じゃない。
『やだちびちゃん達私を心配して迎えに来てくれたのね嬉しいっ!!!可愛いっ!!!コナン帰れ。メールしてくれたら私が迎えに行ったのにっ!!!コナン帰れ』
「そんなこと言われても、僕のお家ここだし……」
『は?』
あれ?追田先輩ってコナン君のこと知ってたのかしら。
「あ、追田先輩。この子がうちで預かってる子どもの、江戸川コナン君です!」
追田先輩は「ウンコナンの事だったのか……」と悔しそうに唇を噛み締め、ガクンと膝から地面にへたり込んだ。
……うんこなん?
(毛利さん貴方かわいそうね)
(え?)
ちよ子様はコナンがお嫌い
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