見た目は子ども、頭脳は忍者
『勘ちゃんに兵助ちゃんにサブちゃんに雷蔵ちゃんにハチちゃんね!!!覚えたよ!!!可愛いね可愛いね!!ちっさくて可愛いね!!いやあああああ勘ちゃんがウィンクしたああああああしぬううううううっっ!!!』
可愛いよ可愛いよ!!このちびちゃん達可愛いよ!!!元の姿に戻すの勿体ないよ!このままでいなよ!!一生面倒みるよ!!
「騒がしいわね、またちよ子さん?」
『哀ちゃんキタァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!』
哀ちゃん様のご帰宅だァァァァ!!
待ってたよ待ってたよ!!キミを待っていたのよ哀ちゃんんんんんんんんんっ!!!!ああ今日もクールな感じが可愛いね可愛いね!!その虫を見るみたいな目が可愛いね可愛いね!!!
「おお哀君、ちょっと、」
阿笠博士が遠慮がちに哀ちゃんを呼ぶ。
そして何やかんやコソコソと話をしていたら、段々哀ちゃんが険しい表情になっていく。
「それは本当に?」
「ああ」
「この症例が一気に現れるなんて、何か法則があるのかしら」
哀ちゃんが何かシリアスだ。いっつもはクールだけど、今日はシリアル、間違えたシリアスだ。
『よくわかんないけど、そのアホ金時って薬が原因なんでしょ?解毒剤飲ませたらいいんじゃないの?こんなに可愛いちびちゃん達が元のサイズに戻るとか勿体ないけど』
「アポトキシンじゃ」
「それが無理なのよ。まだ解毒剤はないの」
何だか難しい話になってきたから放置しよっかな。とりあえず、問題解決するまでこのちびちゃん達を匿えばいいんでしょ?じいちゃんにも協力して貰って、ちびちゃん達を訳あり休学で親御さんにも上手いこと言うって約束取り付けたし。本当じいちゃんって理解力あって助かるわー。
「あの、大川学園の学園長って」
『え?なあに雷蔵ちゃん!じいちゃんの事?いいよいいよ教えてあげる!!もう私達は家族みたいなもんだしね!!秘密はなしだもんね!!あのね、今は追田だけど、大川のじいちゃんは母方のじいちゃんなんだよ』
うひぇえええええ!!雷蔵ちゃんの驚いた顔可愛いいいいいいいいい!!その後ろのサブちゃんの探るような目も可愛いいいいいいいいい!!その横の何考えてるかわかんない兵助ちゃんの顔可愛いいいいいいいいい!!さらにその後ろで笑顔の勘ちゃん可愛いいいいいいいいいい!!あとアホっぽく口開けたままのハチちゃんも可愛いいいいいいいいいい!!
「おい灰原っ!!!さっきのメールどういう事だよ!!!」
『…………は?』
うわ来たよ。
何で来てんの?何でウンコナンが来てんの?え、何で来たの?
テンション、大暴落。
バタンと大きな音を立てて現れたのは、ちっさい子詐欺の江戸川コナン。略してウンコナン。
「ここまで関わったのなら、協力して貰おうかと思って。彼女の後ろ盾は大きいわよ」
「は?だってこいつただの変な奴だろ?あの追田ならともかく、こいつ一般の追田だろ?そんなの帝丹じゃ有名な話だぜ」
「あら工藤君、それでも名探偵?博士の研究資金の大半は、物好きな追田財閥の支援なのよ。孫のように可愛いがってるちよ子さんと同じ苗字だなんてとても偶然ね」
「な、それ、本当なのか?!俺も気になって一度調べてみたけど何も……」
え、何、二人ってそんなに親密なの?嘘でしょ、あり得ないでしょ、だってウンコナンと哀ちゃんって嘘でしょ、釣り合わないでしょ?!駄目だよ哀ちゃんウンコなんかと付き合っちゃ!!!
「あーちよ子君、ちょっと、」
阿笠博士が遠慮がちに私を呼ぶ。
呼ばれた私は、阿笠博士からさらに衝撃的な事実を聞かされる。
哀ちゃんが、本当は、ちびちゃんじゃなかった。
テンション、さらに大暴落。
『哀ちゃんが、本当は、おっきい、だと……っ!?あ、でも今は私より年下の可愛い子ちゃんだからいいや!それに中身が大人なら発言も気を付けなくて良いよね!哀ちゃんのむにむにヒップ揉ませて!!コナン帰れ。君たちはあとで一緒に帰ろうね!!コナン帰れ。みんなでお風呂一緒に入ろ!!洗ってあげる!!コナン早よ帰れ』
入浴剤もいっぱいあるから好きなの使わせてあげるね!!シャンプーも好きなの買ってあげるね!!アヒルさんとか水鉄砲も何でもオモチャ買ってあげるね!!
「なっ??!!!!」
「ちょ!!僕たち子どもじゃ…!!」
「わーい!」
「勘ちゃん??!!!何喜んでんの??!!」
「………湯豆腐」
「おいムッツリ!!湯豆腐とか言って鼻血出すのやめろ!!」
恥ずかしがってるちびちゃん達をぎゅうっと抱き締めていたら、ウンコナンが近付いて来た。そういえば、ウンコナンは帝丹高校で有名なあのナルシスト探偵の工藤新一なんでしょ?どうりでちっさくても可愛くない訳だよ。
「あっと、追田先輩、そいつらと話してもいいですか」
「は?ああ、話は聞いたよ。自称名探偵の工藤新一なんだってね。そのナルシ探偵に“ちよ子姉ちゃん”って呼ばれてたとかマジで鳥肌もんだわ。でも仕方ないから我慢してあげるねウンコナン君」
「…………」
本当、話したいなら仕方ないから私は哀ちゃんのヒップ揉んでくる!!!
「お前らも黒の組織にやられたのか」
「うんそうみたい!俺尾浜勘右衛門!よろしくー!」
一通り自己紹介と薬を飲まされた経緯を話すと、コナンに大きなため息を吐かれる。
「バーロー、これだから素人は困るんだよ」
カチン、という音が鉢屋から聞こえた気がした。
「今回は訳有りのハンデがあったから失敗しただけだ。素人はお前だろチビ」
「お前の方がチビだろ」
むきぃーっ!と不破に飛び付く鉢屋。
「あいつ気に入らない!!」
「まあまあ落ち着きなよ三郎」
「前世思い出して浮かれてた僕たちも悪い訳だしね」
その数日後、褌姿で町を全力疾走するコナンが目撃されたとか。
(サブちゃん上手!もっとやれ!)
(ふん!私は変装名人なんだ!)
(サブちゃん可愛いいいいいい)
とある忍者の本領発揮
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