ヒトメボレ (3)

 
 
 
「だめだ、アンタにこの旅は危険過ぎる」


『あら、か弱く見える?』



ナマエは艶めかしく微笑んだ。



「ナマエさんだっけ?おれの旅は遊びの旅じゃないんだ」

『知ってる。あなたが追うのは通称“黒ひげ”。白ひげ海賊団4番隊隊長サッチを殺した男…』

「!!」

『あたし情報通でしょ?』



エースは諦めた様に長い溜め息をついた。



「…一度でも危ねェと思ったら置いて行くからな」


『さすがあたしが惚れた男!じゃあヨロシクね!』



(…ん?惚れた男?)



スッキリしたように料理を食べるナマエ。



(…聞き間違いか?)



エースも、再び料理を食べ始める。



(一瞬見とれただけで別に惚れた…訳…で…も…)




―――――べちょ。





「えっ!お客さん?!」



お店のマスターは、いきなり料理に顔を突っ込んだエースに驚き慌てる。



がたァァァァーん!!!




「えっ!こっちも?!」



エースが料理に顔を突っ込んだ直後、隣りのナマエも椅子ごと後ろに倒れる。



「いっ医者はいるかー!!」

「いや、マスター!コイツら見てください!」



慌てているマスターに、周りの客が2人を指差す。






「んごォ…」
『スカー…』









「…???」



マスターは倒れた2人をよく見つめる。すると両方から寝息が聞こえていた。



「…ね…寝てる?」



マスターがエースに声をかけようとすると、勢いよく頭が上がった。



「…わっ!!」

「いけね。…寝てた」



「「えぇーーーーっ!!」」



周りが一斉に叫ぶ。



その直後に、ナマエもいきなり起き上がる。



『あら?なんで椅子が倒れてるのかしら?』



((こっちは自覚なしかよッ!!!))



周りの客は心の中で一斉に突っ込んだ。



『マスター、このパスタおいしいわね』



((しかも普通に流したァァーッ?!!!))


 
ナマエは何事もなかったように料理を食べ始める。



全くもって似た者同士である。



(な…なんだこの客は…)



マスターは驚いて、ただ立ち尽くして2人を見ていた。










ヒトメボレ

(やっぱ写真より実物がいいわ)
(はい?)
(あたし手配書に一目惚れしたの)
(ふーん、じゃおれは一見とれだな)
(ヒトミトレ?)
(ま、そんな感じ)


 


 
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