登校しましょう。
真っ青な空、白い雲。
一度だけ大きな伸びをすれば、風が私の髪をなでた。
あれ………
今、私…何してたんだっけ…
肩から半分落ちかかっている中身の少ないバックには、食べかけのお菓子の袋と少し端の折れ曲がった化学の教科書が入っている。
夢の世界に片足突っ込んで、ぼんやりと道を歩く私。
そして、後ろから、とてつもない衝撃を受けた。
「あ、すみません。
まさか、firstだとは思いませんでした。
ちゃんと言ってくれないと困りますよ、ラビ。」
「今のは完璧にオレのせいじゃないんさね……
とりあえず、first。
おはようなんさ!!」
勢い余って地面と激しくぶつかった私をニヤニヤとした顔で見下ろす白髪と、大丈夫なんさ?と言いながら手を差し出すタレ目。
『おはよう、ラビ。
死ね、モヤシ。』
「朝から死ねだなんて酷くないですか?
女性の風上にも置けませんね。
しかも君の目は節穴らしい。
僕のような紳士と食べ物の区別もつかないなんて……
可哀想ですね。」
本当に可哀想。
という目で私を見る白髪、つまりアレン=ウォーカー。
女性に朝から跳び蹴りいれる紳士がどこにいるんだ。
あ、いた。こいつか……。
『エセ紳士。マリアン先生に灰にされてしまえ。』
「な……っなんて不吉な…
その時は道連れにしてやりますよ!!!!」
「あーもう…2人とも朝から元気なんさね……」
ラビの手を取り、立ち上がりながら呪いを吐けば、アレンくんは虚ろな目で明後日の方を向いた。
「でもそれ、あまり笑えませんね……。
僕、この間の試験の出来が良くなかったんですよ…
冗談抜きに灰にされるかもしれない………」
いつになく深刻そうな表情のアレンくん。
これは相当ひどかったらしい。
「え…アレン……
一体、何点取ったんさね…?」
詮索好きなラビが勇気を振り絞って、問い掛ければ、アレンくんは自嘲的な笑みで数字を呟いた。
『そ……それは、それは…』
「ドンマイ…なんさ……」
爽やかな朝。
どことなく重たい雰囲気になってしまった私たち3人は、あまり言葉を交わさぬまま、ただ歩き出したのだった。
ああ、今日も
壮絶な1日が始まる…
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