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青春の悩みです。

「あれ??first、何やってんですか?」


ヒョイ、と彼女がいるであろう場所を見れば、やっぱり彼女はそこにいた。



教室の廊下側の一番後ろ。

何でも彼女曰わく、その席は教壇からの最高の死角であるらしい。

一体授業中に何をやってるのやら……




なんて事は置いといて、
今現在。

そこには、いつになく真剣な面持ちのfirstが何やら小さな紙に目を落として座っていたのだった。




『あ。アレンくん……』



その声には、いつもの無駄な元気は感じられない。

と、思った矢先、firstは深い溜め息をついたのだった。




「は…?
first、一体どうしたんですか??

いつもの無駄な元気は??
まさか、またネジが!!?」



『アレンくん……

今、私、くだらないアレンくんに付き合うような気分じゃないの。』


ごめんね、と弱々しく笑ってみせるfirst。

そしてまた、彼女の手に収まる小さな紙を見ては深い溜め息をついていた。



とすれば、

彼女の気分をここまで落としているものの答えは、その紙にあるはずである。



「first、何か悩み事ですか?
僕で良ければ相談にのりますよ??」


『え……本当に…??』



こんなにも思い悩んでいる女性を放っておくなんて、とても紳士とは言えない。


そこで、優しく紳士的で、正に素敵な男性No.1である僕は、如何にも心配そうな顔で空席だったfirstの前の席に座ったのだった。


まぁ、心配2割、興味が7割といったところ。

あ、因みに。
残りの後一割の僕の心情については、僕は口が裂けても言いませんからね!!
今、僕の目の前に座る沈んだ女に負けた気がして嫌ですから!!!!




『えっと……じゃあ、ちゃんと言うから…笑わないでよ??』


「はい。勿論!!」




曇った表情だったfirstが、僕を見て微笑む。


やっぱりこれが一番だ。
僕は心の隅で少し安心した。

そんなこと、絶対に態度にはだしませんがね。



そしてfirstは、ぽつり、またぽつりと話始めたのだった。












firstの話が終わった。

そして訪れたのは、いつもの僕らなら絶対に無縁の静寂。


その中で僕はもう一度、先程の彼女の言葉を思い出し、それに一番適当な言葉を探した。




まさかfirstがそれで悩んでいたなんて……本当に…






「くっだらねぇ………」



『ア…アレンくん、ひどい!!!!

私、真剣なのに!!!!』




「だってfirst……それって…」




firstの話によると、どうやら昨日、彼女はリナリーと一緒に買い物に行ったらしい。

そしてそこで、彼女を悩ますに至る事象が起きた。

それは、リナリーとプリクラを撮ったということ。
つまり、あの小さな紙はそのプリクラであったのだ。


では何故、そのプリクラが問題となるのであろうか??

それは、リナリーの発言によるものだった。

“firstちゃん、どこかにちゃんと貼っててね!!”


で、そう言われた彼女は、リナリーとのプリクラをどこに貼るか、で悩んでいた。と。



馬鹿か。





『馬鹿って何よ!!
私、本当に悩んでるんだから!!』


「ノートにでも、携帯にでも貼ってたら良いじゃないですか!!
君は馬鹿なんですか!?」


『そんなとこに貼れるわけないじゃない!!

一緒に写ってるのは、あのリナリーちゃんよ!?

あんな可愛い人の隣に写った私何てもう月とスッポンよ!!!!
そう易々と表に貼れない!!』


「内側があるでしょう!?」


『そ……そうだった!!!!
アレンくん頭良い!!!!』


「全く……本っっ当、心配して損しました。」



そう言えば、目の前の彼女が一瞬だけキョトンとして、そして笑った。




『あ。一応、心配してくれてたんだ。

ありがとう。』



「………………っ!!!!」



そう言って笑ったfirstは、何だかいつもとは全くの別人に見えて、何の準備も無かった僕は思わず彼女から目を逸らしてしまったのだった。





*****

僕の後一割の君への心情が、僕を悩ませるんですが
僕はまだ、その事をまだ知らないフリしてるんです。

僕だって大変なんですよ。




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