転校生が来ました。
「お前ら、仲良くやれよ。」
朝から気怠いマリアン先生は私のクラスの担任教師。
彼の雰囲気はいつものようにダラダラしている。
しかし、
今日はいつもとは完全に違う。
マリアン先生の隣には、見知らぬ人物が素晴らしい姿勢で立っていたからだ。
切れ長の吊り目、肩にかかる黄みの強い金色の髪。
誰かを連想させるような雰囲気を身に纏った男の子。
彼は凛とした表情でクラスを見渡し、口を開いた。
「ハワード=リンクと申します。よろしくお願いします。」
おー、なんか軍隊っぽい。
「あー、どっか席あるか?」
『先生ー、此処ですよ!!』
転校生が来ると聞いて、昨日入れた新しい机。それは私の丁度隣にあった。
ヒラヒラと手を振ってそれを伝えれば、マリアン先生は不快そうな表情で転校生くんを振り向いた。
「だそうだ、
初日からアイツの隣りか。
残念だったな。」
『ちょっ…それ、
どういう意味ですか!?』
「うるせーな、詳しいとこまで言って欲しいか?」
『いえ、すみません。
いいです。』
じゃあ、後は勝手にやっとけ。
と、先生は出て行く。
そのまま取り残された転校生くんは、すぐにツカツカと席まで来て座った。
にしても、転校生くんの隣とは私も運が良い。
最初に話しかけれる特権を貰ったも同然なわけだ。
昨日のアレンくんの発言も気になっていた私は、ぱっと転校生くんを振り向いた。
『えっと…私、family firstです。よろしくね??』
「ハワード=リンクです。
此方こそよろしくお願いします。」
「俺、ラビっていうんさね!
よろしくなんさ!!」
私と転校生くんの会話を聞きつけ、前に座っていたラビが振り返る。
転校生くんは再度、よろしお願いします、と頭を下げていた。
「すごい真面目なんさねー。
何処ぞの誰かに分けてやって欲しいんさ!!」
なんて言いながら、ラビはちらりと私を見た。
ので、
奴のわき腹に、転校生くんには気付かれないように打撃を加えておいた。
昨日の鬼神の襲来から奇跡的復活を遂げた彼の顔には、まだ生々しい傷が残る。
だからきっと、この私のか弱い攻撃も少しは効いたはず。
とある綺麗な河が見えるぐらいには。
案の定、ラビは3秒で脱落。
そして、それに驚いたのは転校生くんだった。
「一体
彼はどうしたんですか!?
随分傷を負っているようですが……」
『ああ、気にしないで!
きっと勉強のし過ぎだか…ら……』
いや、無理でしょ。
気にしないで、なんて言う方が無理。
私、
滅茶苦茶気になるもの発見。
あれは何だ……?
ご飯粒…??いや…違うな…
あれは……
「………???
どうしました?
私の顔に何か付いてますか……??」
目標物on彼の額。
そこを凝視していれば、転校生くんに訝しげな顔で尋ねられた。
目は離せない。
何かが特定できないから。
彼に聞き返したいが、これは何て言えば……
「familyさん??」
『あの…すみません。貴方のことをお呼びするのに
ホクロさんと、ク●リンさん、
どちらが良いですか……??』
*****
「………。
すみません、できればリン…」
『それはダメです!!!!
長所は伸ばさなきゃ!!
あ、
私のことは、firstで良いんで!!
●リリンクなんて如何ですか??』
「………………。」
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