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061.森の奥で



 泣きじゃくる子供のような大人のような少年を見ながら、彼は知らず知らずの内にホッと胸を撫で下ろしていた。
 そう思った理由なんて大してない。むしろ自分自身でも理由なんてものは良く分かってすらいないのだ。

 ここ数年、彼がずっと危険視していたはずのその男が、今は別人のように変わってしまったその男が。依然と何ら変わりない存在であるとそう分かっただけで、彼はホッと肩の力が抜けるを感じてしまったのだ。
 妙に頭が切れて、せっせと仕掛けた罠ですら簡単に看破されてしまって、その癖任務外の事となると何処か抜けていて甘っちょろくて、時折剥がれ落ちる化けの皮はどうしてだか拾って置きたくなるような、そんな男。彼はそんなリュカ=ベルジュが戻ってきた事に、何故だか安堵していた。
 自分の謀(はかりごと)を尽く見破ってくるものだから勝手にライバル視していたのかもしれない。甘っちょろい男が何処までやれるのか見たくなったのかもしれない。或いは、自分のように家から見捨てられている境遇に勝手に親近感を抱いていたのかもしれない。
 理由はどうであれ、彼は確かにリュカのいつものような姿に安堵したのだ。アレはリュカ=ベルジュに違いないと、ようやく確信できたのだから。



* * *



 カミル=ハインツェは、当事国であるアレクセイ王国の事を考えながらひとり、物思いに耽っていた。ここ数日、彼等が寝床としている場所からは少し離れたそこは、一人で物思いに耽るにはちょうど良かった。
 あの騒動以降、すっかり魔獣が姿を見せなくなったおかげで、カミルも森の中でひとり離れる事が出来るようになったのだ。いつも彼のそばにいる人型をした野獣の仲間も、ひとりで考えたいといえばきちんと理解し、カミルを尊重してくれている。これ幸い、とここ数日の怒涛の展開を彼は整理したかったのだ。誰にも邪魔されずに。

 当初この討伐隊の件に首を突っ込むと決めた時、彼はただ単純に、自分の目的の為に動くと決めていたのだ。ライカ帝国内では監視の目が厳し過ぎ、カミルをもってしても思うように行動できない。むしろ、カミル=ハインツェという男がどれほど厄介かを嫌という程思い知って居るお国元であるからこそ、監視の目は過剰な程に付けられていたのかもしれないが。
 故に国を出てまず最初に、カミルはアレクセイ王国とライカ帝国の部隊に協力関係を作り上げる必要があった。その方法は、以前リュカ=ベルジュによって暴露された通りである。
 隊長と共に行方を眩まし、それを餌に協力関係を築かせる。エアハルト=デルブリュックを上手く使い協力させ、果ては脅しなり何なりで自分の野望の中に人員を取り込むのである。一部を除き、カミルの作戦は実に上手くいったと言えよう。
 ゲルベルト=オストホフ改め、ゲルベルト=ハインツェなどは、上手い具合に良い駒(脅しとも言う)となってくれた。そのお陰もあってか、自分の陣営に国内でも追い付ける者の居ない三神の力すら、引き込める算段も立ったのだ。成果としては申し分ない。

 ただひとつ、惜しいとも、失敗して当然だとも思ったのが、かのリュカ=ベルジュだった。彼程、カミルにとって手元に置きたい人材は他に居なかったのだ。
 魔術についても他国の事情についても明るく、剣士としても参謀としても使える。優秀かつ名の通るお家からは煙たがられ、国を捨てさせたとて引き留める者は余り居ないであろう孤独者。参加させるには十分な程、条件は揃っていた。
 しかし結果はといえば、カミルの惨敗である。考える余地すらも与えられず、カミルの誘いは断られたのだ。思っていた以上に、彼の愛国心、そして家族愛は強かったのである。カミルからすれば、心底いけ好かない男だ。
 だがその反面、惜しいとカミルは素直に思うのだ。性格の相性はどうであれ、彼を自分の陣営に引き込めればこれ程心強い事はない。優秀な自分がもうひとり居るかのような万能感、それを覚えてさせてくれる男は今のところリュカ=ベルジュの他に居ない。
 まぁ魔術師が手に入れば、それはもうカミルにとって願ってもない事なのだが。しかし、少なくともエレーヌ=デュカス程には魔術以外も出来てくれなくては困るのだ。当然、大魔術師がカミルの下へ来てくれるなど天地がひっくり返ってもあり得ないのだからして、魔術師は元々諦めて居る。そもそも、王国は魔術師を梃子でも手放さないだろうし、と。
 そのような諸々の事情が故、カミルはリュカ=ベルジュを引き抜く為、虎視眈々と狙っていたのである。一度で成功するなどとは思って居なかった。一度はその男の底知れなさに諦めようともしたが、やはり諦めはつかない。元々長期戦は覚悟していた事もあって、カミルは機会を伺っていたのだ。
 それだというのに。蓋を開けてみればどうだろう。

 リュカ=ベルジュと呼ばれた男には、別の名前もあったのだ。
 数百年前の大魔術師、ルーカス=ライツである、と。
 さしものカミルですら、当初は理解が追いつかなかった。人間という生き物に、まさかそのような事が起こり得るなど、考えもしなかった。「精霊王」に「異世界」に、何百年一千年と生きる人間達。きっと、カミルが実際にそれを見聞きしていなければ笑い飛ばしていたに違いない。

 けれども、魔術が使えずにずっと燻っていたはずの男が、目の前で魔術を容赦無く冷徹にぶっ放している所を見てしまっては、カミルも信じざるを得なかった。
 それと同時に、カミルは自分勝手にも思ってしまったのだ。

 リュカ=ベルジュと自分が同じなど思い上がりも甚だしいと。裏切られたと、勝手にそう、カミルは思ってしまっていたーー


「カミル」

 木に身体を預け、座りながら考え事をしていたカミルは、名前を呼ばれた事にしばらく気付く事が出来なかった。しばらくしてハッと顔を上げると、カミルの目の前にはエアハルト=デルブリュックが立っていた。

「ああ、ごめんエアハルト、考え事してて気付かなかったよ。どうしたの?」
「少し話をしようかと思ってな。戻った後での報告についてだ」
「ああ……そうだね、座ってよ。それは僕も話さなければならないと思ってた」

 エアハルトが自分の目の前に座ると、周囲に人が居ない事を確認してから、二人は神妙な顔で話し始める。どこか声のトーンも落としながら、まるで内緒話でもするかのようだった。

「報告は、どこからどこまでだ?」
「全てを話す必要はないよ。適当に話を創れば納得するさ。どうせ理解出来ないんだから。あの国に今回の事を教えてやる価値はない」

 声を低く抑えながら、カミルは言った。その言葉の端々に嘲りの色が滲む。それを敢えて無視をしているのか、エアハルトは納得したかのように頷くと、口を開く。

「ああ。分かった、ならば口裏を合わせよう。ストーリーが出来たら教えてくれ。……それとーー、」

 エアハルトは一旦口を噤んだかと思うと、言い澱んだ。カミルの目を意味ありげに見る。それが何処か赦しを乞うような眼差しで、カミルは促すようにクイと首を持ち上げて言う。

「エアハルト?」
「ああ……、あの、国を造ると言う話は、本気なのか」
「うん、本気だよ。僕が帝国に留まる意味は無い。みすみす殺される、ってんならいっそ噛み付いてやるさ」
「そうか……なら、俺達もーー」
「いや、それは駄目だよ」
「っ、なぜ」
「だってエアハルト、ちゃんと大事な家族居るじゃん」
「!」
「本当は僕だって君達来てくれるんなら願っても無いよ?でも、僕が帝国の人間を連れて抜け出した場合、皇帝らが残された者達に何するか分からない。ゲルベルトも君もまだ、駄目だ」
「…………」
「ユリアンは連れてく。あの人は天涯孤独の身だし、帝国のやり方を良く思ってないから。他にも、僕の側近の中でも危険に晒されそうな人は連れて行く」
「それは……」
「ん?」
「『まだ』、という事はつまり、用意はあるんだな?」
「……うん。僕が皇帝の首を噛みちぎる時、君達は僕がもらう。……だからそれまでしばらくは、駄目」
「そうか。……なら、良い」
「君はそう言う意味で真っ先に疑われるんだから、僕が脱出する時には、君は進んで僕を口汚く罵らないといけない。自惚れも甚だしい独善的な勘違い野郎、ってね」
「冗談」

 エアハルトに頭をくしゃくしゃとかき混ぜられながら、カミルはクスクスと笑う。カミルにとって一番頼れるのはこのエアハルトに違いなかった。共に任務をこなし、相談し合いながら命の危機をも乗り越えてきた。同じ武装親衛隊だからこそ抱く連帯感。嫌いで堪らないライカ帝国の中で、カミルは唯一、エアハルトと共に任務に着ける事だけは気に入っているのだ。
 互いに身を危険に晒す事を分かっていながら、二人は帝国の中でも笑い合う。いつどこで殺されるかも分からない。そのような恐怖と戦いながら、己の進む道を決めるのだ。いつか抜け出してやる、いつかブチ壊してやる、そのような願望を心の奥底に隠し、己の爪を研ぎながら好機を窺っているのである。

「カミル」

 一頻り笑った後で、エアハルトが言った。

「ん?」
「もしかするとなんだが……、あのリュカ=ベルジュは、俺達を手伝ってくれるのでは無いだろうか」
「…………は?何それ、藪から棒に……」

 一瞬、理解が出来ずにカミルは固まる。だがエアハルトは、至極真剣な表情で、カミルへ顔を寄せながら言った。

「話を聞くに、今の彼はかつて国に捨てられたと言っていた。国に戻るつもりもない、とも。ならば、状況はカミルと同じようなものだ」
「けど……」
「まぁ、まずは私の話を聞け。私が見るに、彼は相当なお人好しだ。少なからず関わりを持った私達が命の危機にあると知ったなら、多少なりとも味方についてくれるのでは?今回の事で、彼は私達の戦力を利用したと思っているはず。ならばきっと、手助け位にはなってくれるはず」

 エアハルトの提案は、とても望ましいものに思えた。正直に言えば、カミルはそれを喉から手が出る程に欲している。だがその反面、カミルは不安を感じるのだ。

「そんなに、上手くいくかなぁ……それは、いくら何でも不確定過ぎない?いざと言う時にそれが当てにならないと、僕は詰むんだけど。今のリュカ=ベルジュは、以前とは変わってしまったんだし」
「だが、先程の件でカミルにも判っただろう?姿形が変わっても、アレは確かにリュカ=ベルジュだと」
「まぁ、ね……」
「味方は多いに越した事はない。他国に足掛かりができるのなら尚更だ。当てに出来ないのは確かにその通りだが、いざと言う時の奥の手は用意すべきだ」

 尚もしつこく食い下がるエアハルトに、カミルは迷いながらも首を縦に振った。確かに、その通りなのだ。命が掛かっているのだから、がむしゃらに手を出してみるのも良いのかもしれないとそう、カミルにも思えたのだ。他の誰でも無い、エアハルトのお陰で。

「うん。……そうだね。分かった、やるだけやってみようか」
「それで、本当にどうしようもなくなったら、泣きつけば良い。命を救ってくれと。お前の頼みならリュカ=ベルジュも断らないさ」
「……何だかエアハルト、アイツの事信用し過ぎ」

 少しだけ揶揄うようにカミルがそう言えば、エアハルトは目に見えて動揺した。

「ッ!い、いや、別にコレはっ、そう言う意味で言った訳では……!」
「『そういう意味』ってどういう意味よそれ。なーんかエアハルト、怪しい」

 別段、カミルはエアハルトの親切を疑っている訳でも何でも無い。ただ、彼が余りにも格好良い事を言うものだから、カミルの中でいつもの悪戯心がムクムクと湧き上がってきてしまったというだけなのだ。
 だがエアハルトはそれにも気付かず、何故だか必死で弁明する。カミルがそれを見て楽しんでいるなんて、エアハルトは思いもしないのである。

「んなっーー、わ、わわ私はただ、お前の為に出来る事はないかと思っただけだ!深読みするな!あのような破廉恥な連中をーー」

 エアハルトがそのように口走った瞬間、カミルは耐え切れずに噴き出す。真剣な話し合いは、あっという間に空の彼方へと飛んで行ってしまった。

「ブフッ!ンフッフッフッ、は、破廉恥ッ!」

 引き攣るような笑い声を上げながら、カミルは腹を抱えて地面に突っ伏してしまう。
 そして勿論、そのような反応を見せられてしまったエアハルトはといえば、羞恥心の余り真っ赤に染まっている。

「んな、何故笑う!?」
「だ、だってエアハルトッ、アイツに対して、そんな事思ってたなんてッ、」
「あ、あんな、人前で見せ付けるように獣人と戯れるなどっ!」
「あー、獣人と……成る程、確かに帝国ではそうかもねぇ。……真面目かよ」
「そうだ!人型では無いとは言えアレも人間、人前でベタベタとあんなくっ付くなど……」

 そんなエアハルトの言葉を聞き、カミルは再び噴き出してしまって地面に沈む。そんなカミルの反応に納得のいかないエアハルトは、ひとりでむくれた。
 しばらくカミルの笑いはおさまらず、ヒーヒー言いながらようやく顔を上げる頃には、カミルも顔を真っ赤にしながら、目尻に涙を滲ませていた。
 そしてそのタイミングで、エアハルトは再び真剣な表情をつくると、カミルに向かって言った。

「それにだな、真面目な話、私はお前に死んで欲しくない。お前が助かるなら、何だってする覚悟ではいる」
「!」
「お前の言うように、家族は護らなければならない。だが、お前が殺されると言うのならば、お前を護って私が替わりに死ぬ事になっても構わないとは思っている」
「な、に、それ」
「だからお前も、私を殺させないように、何をしてでも生き延びてくれ。どんな手段を使ってでも、彼等のような他国の者に貸しを作ろうとも。何者もお前には変えられないんだ」

 そう言って、カミルの額にコツンとエアハルトの額が押しつけられる。エアハルトのその涼しげな美貌が、カミルの目と鼻の先にあった。そっと閉じられた目元は、少しだけ苦しそうだ。
 余りにも必死なエアハルトのその言葉に、カミルは胸が締め付けられるような気分を味わう。誰にも言われた事のない、自分に向けられた初めての言葉は、カミルの心を揺らすのには十分だった。

「……うん」

 結局、カミルが絞り出せたのはそんな一言だった。いつもの軽口が出てこない程、彼の胸は一杯になってしまったのだ。だが、そんな一言でもエアハルトは満足したのか、カミルから顔をそっと外すと、今度は至近距離で微笑みながら言う。

「だから私も、例えライバルだろうが何だろうが、喜んで頭を下げるさ」
「うん……分かった。分かったよ、エアハルト。僕もちゃんと、考える」
「ああ」
「ありがとう」

 カミルも笑って答えながら、エアハルトを真っ直ぐに見上げた。最早迷いなど無いかのように、スッキリとした表情だ。

「ねえ、でもひとつ気になったんだけど……」
「ん?」
「エアハルトの言うライバルって、誰?」

 カミルはそこで、ふと思いついた疑問を口にした。するとエアハルトは、少しばかり言いにくそうに口を開いた。

「それは……リュカ=ベルジュだ」
「は?え、何で?」
「妙に彼を気にしていたろう。カミルにしては珍しく。だから、彼ではなく私の方を見て欲しいと……」
「えっ……ええ?何、なになに、どう言う事?」
「っ、言わんと分からんのか……カミル、私の事を、一番に考えて欲しい。他に、目を向けないで欲しい。気になるのなら、私が全てやる。だからーー、私だけを、見てくれ。お前を、私にくれ、カミル」

 お前を愛しているんだ。
 面と向かって至近距離からそのような事を言われて、カミルは思考が止まる。そして次の瞬間には、顔中が沸騰するような感覚を覚え、混乱の余りに言葉にならない音を口走るのだった。

「な、ななななな、なにエアハルト、それ、本気で?僕が?」

 顔を真っ赤にしながら、そのようにカミルは問う。しかし、エアハルトの答えは、揺るぎもしなかった。

「そうだ。私がクソ真面目なのは、お前も知っているだろう?こんな時に冗談は言わない」
「っ」

 至近距離からそう微笑まれれば、カミルは最早エアハルトの目を見る事ができなかった。必死で頭を捻りながら、エアハルトの事を考える。そんなカミルの答えが出るのに、それ程時間は掛からなかった。
 エアハルトの事を心から信頼している時点で、カミルの答えは決まっているも同然なのだ。そうして森の片隅で、二人は思いを互いに伝え合う。この場に二人以外の者が居ないのを好い事に、恥ずかしげも無く思いの丈を言葉に出し合ったのだった。


 そうしていくばくかの時が流れた所で不意に、思いついたようにカミルが言った。

「ーー何はともあれ……まさかエアハルトがアイツに嫉妬してたとは」
「いや……お前達、仲良かったろう?」
「あれのどこでそう思ったの!?」
「真っ先に、リュカ=ベルジュを計画に誘っただろう。俺達よりも先に」

 少しだけ膨れたように言ったエアハルトに、カミルは苦笑した。まさかこの男が、そのような感情を見せてくるだなんて、カミルは思っても居なかったのだ。少しばかり、気恥ずかしい。

「いやまぁ、彼は他国だから、急いてたのもあるよ。ここしかチャンスは無いって。……でも、ナカヨシは有り得ない。欲しい人材ではあるけども。僕アイツ嫌い」
「……お前の言う嫌いは当てにならない」
「何で!?」
「カミルは天邪鬼だろう?」
「なんだろう……とてもソフトな罵倒をされてる気がする」
「自由にならない所で育ったんだから仕方ない」
「…………まぁ、確かに僕とアイツは似てると思ったから、少し、親近感はあったかも」
「ほらな」
「……気持ち悪い想像しないで。それとコレとは別だから。まぁ、そんなヤツが僕以上に色んなもん抱えてるって知っちゃって、アイツの先が気になってたってのはある」
「ほら見ろ!」
「う、る、さ、い!知っちゃったんだからしょうがないでしよ!仲間意識くらい持つんだから、心配にもなるでしょうが」
「まぁ、な。それでこそお前だしな」
「そうだよ。僕らよりもアイツの周りの奴らの方が解ってそうだから大丈夫だとは思うけど。……ってか、知ってて煽ったな」
「いつもの仕返しだ」
「エアハルトの癖に」

 そうやって時折笑い合いながら、二人はこの先を願うのである。自分達と、そして今回関わってしまった全ての者達が幸福で在らんと。

「まぁ、アイツ僕と似てるし、何とかなるでしょ」
「そう願うしか無いな」
「うん。寧ろ僕らの未来の方が心配」
「…………」
「そこで黙んないでよ」
「なるようになる」

 ひとりの男を思い浮かべながら、二人は暗い森の中、そっと手を取り合った。






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