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立ち上がろうとしたキラの手を思わず掴んでしまった。

「うわっ…!」

引っ張られたキラは身体を少し傾かせて、面食らったような表情をしてフレイを見下ろしてくる。
端正な貌立ちをしているのに優しそうな、柔らかい輪郭―――――――でも、その腕は、手は、とても強くしなやかで、思い通りにはならない堅さがあった。
未知の強さを持っている。
なのに―――――――。

「どうしたの、フレイ?」
「キラの手、あったかいのね」

キラは一瞬、きょとんとして、それからおもむろに恥ずかしそうに頬を赤らめてフレイを見返しながら、ふたたび傍らにすわり込む。

「そう、かな? よく冷たいって言われてるけど。はじめてかな、そんなふうに言われたの」
「誰に言われたの?」

少し躊躇ってキラはうつむく。

「……母さんに。あ、そういえば、手があたたかい人は心が冷たいとか、手がつめたい人は心があったかいとか、そんな話をみんなでしたことがあったっけ」

話を逸らそうとするキラにフレイは笑いかける。

「そんなのくだらない」
「う、うん、そうだよね」
「キラは、この手と同じように、心もあたたかいのよ」

キラは何と言っていいかわからないようで、顔を赤らめて、さらに顔をうつむかせた。

「わたしね、ホッとするの。こうして手を繋いで、キラの体温を感じてると」

だから、どうしたらいいのか困ってしまう―――――フレイは胸の内で呟いた。


ぬくもり



◎久しぶりに初期のころの二人…
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