「…寝てる」
木陰で休むウォーリアの元へと歩み寄り、膝を折ってのぞき込むと。
そこには規則的にゆるり肩を上下させる、彼の美しい寝顔があった。
(本当、綺麗な顔)
普段彼は、仲間の中でも一番に行動し、仲間を気遣い、仲間を守るため常に神経を研ぎ澄ましている。
私たちの前ではいつ何時も変わらぬ、力強い背中を見せてはいるものの。やはり疲れているんだろう。
その証拠にこうして隣に座って寝顔を眺め続けていても、まるで起きる気配がない。
あくまで敵ではないと、寝ながらにして感じ取っているからだとは思うけれど。
「ウォーリア、」
目をつむっているせいで、端整な顔立ちがほんの少しだけあどけなく映る。
みんなが頼りにする人。
私の、愛おしい人。
恋人の横顔にそっと手を添え、ゆっくりと滑らせながら私はつぶやく。
「お疲れさま。いつもありがとう、ウォーリア」
長い睫毛に唇を落としたそのとき。不意に、強い力にグイと腰を引き寄せられた。
横並びになっていた影が幹の前で一つの形となり、ぬくもりとぬくもりとがぎゅうと密着する。風と共に髪を撫でるのは、ウォーリアの静かな呼吸。
「随分と可愛らしいことをするのだな、きみは」
「やだ、起きてたの。気付かなかったわ」
「もう少し、」
「ん」
「もう少しだけ、このまま抱き締めていてもいいだろうか」
「…ふふ、勿論よ」
熱い唇が首筋を撫ぜるからこそばゆい。
髪に、うなじに、額に触れるようなキスを落としたあと。ゆっくりとまどろみに沈むウォーリアの背中に腕を回しながら、私も静かに瞼を下ろした。
「おやすみ、ウォーリア」
耳元で奏でる愛