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生意気後輩×ちょろいキャプテン2


「ふえ……え、え、あぅ……えぐ……っ」

 ぷしゅっ ぷしゅ……


 シーツをホカホカと濡らしていくのは、潮ではない。おしっこだ。
 口を開けて固まっていた白峰は、濡れて色が濃くなったところに指をつけた。ぬるり、彼の指がシーツの上を滑っている。

「あ、あぁあ〜〜……うそや、人のベッドでおもらししてもうたぁ……ひっく、う、うぇえ……」

 幼い頃、藍島の部屋に泊まった時のトラウマを思い出す。
 彼の布団でおもらしをしてしまった俺は、当然叱られる――かと思いきや、泣いて喜ばれたのだ。

 一心不乱におもらしシーツを嗅ぎまわる藍島、目を血走らせて笑う藍島、俺のお股を洗いたがる藍島……金輪際決しておもらしはしないと心に誓うくらい、あの出来事は気味が悪くて衝撃だった。


「ごめ、ごめんなしゃいぃ〜〜……うう、おしっこシーツ、くんくんしたら、いややぁ……」

 彼にあげるはずだったミカンを、バスの中で三つも食べたせいだ。欲張ってしまった。部活終わりで疲れているからって、いやしんぼだった。

「おい」
「はひ」


 頬をぎゅむっと掴まれて、乱暴に涙を拭われる。
 白峰は怒りも笑いもしていなかった。妙に真剣な顔で、俺の目を見たり、逸らしたり、見たり、逸らしたり、を繰り返している。


「こ、この事、誰にも言われたくなかったら……俺と……」
「はひ」
「お、俺と……」
「はひ」
「そ、その、俺と……!」
「あ……っ ん、今、さわったら、あかん…… あ、あ、今度こそ、お潮でそうや……っ
「いや今それどころじゃ」
「はよ、風邪治してあげたいねん……ん、んぅ、がんばって、お潮、吹くで……っ
「キャプ、いやコマメ……」
「言い直さんでええで」


 何か言いたげだった白峰だが、俺がビクンビクン し始めると呆れたように溜め息をついた。


「だって俺、キャプテンやからな」




***




 パンッパンッパンッパンッ パンッパンッパンッパンッ
 ぬちゅっ ぬちゅ ぬちゅっぬちゅっぬちゅっぬちゅっ


「んひぃいいっ お”っ お”っ おっほぉ 吹くっ 吹くぅうっ お潮吹くぅううう〜〜〜〜っ

 ぷしゃっぷしゃっ ぷっしゃぁああっ

「はあっ 吹けっ もっとや 部屋の湿度上げろっ メス潮臭、充満させろっ
「んひぃいっ いややっ もおいややっ もお十分やっ べちょべちょや、お布団べちょべちょやぁっ
「はよ、オカンら帰ってくる前にもっと……っはあ、もっと、もっと抱かせろ……っ
「お” お” あひっ あんっ あぁあああんっ


 ぷっしゃぁあああああああぁぁぁぁぁぁああっ

 ぷしゃっ ぷしゃっ ぷっしゃぁあああっ


「はひ……っ はひゅーー……っ はひゅーー……っ
「はあーーっ あ”ーー…… はあ”ーーーー……
「お”っ!? ちょ、ちょお、休ませてぇやっ あ”ぅ


 パンッパンッパンッパンッ パンッパンッパンッパンッ
 パンッパンッパンッパンッ パンッパンッパンッパンッ

 どちゅんっ どちゅんっ どちゅんっ どちゅんっ
 パァンッ パァンッ パァンッ パァンッ

「はーー…… はひぃいーー……ちんぽ、壊れうぅう……っ まんこは、もお、壊れてうぅう……


 きゅんきゅん を通り越してぎゅーーっぎゅーーって白峰のちんぽ、締め付けとる…… そして搾り取られるように、彼のちんぽもびゅーーっ びゅーーっ ってずっと出とる……

「……っや、っば、やばい、隠れろっ!」
「んぐぅっ!?


 彼は床に落としていた毛布を拾うと、べちょべちょのシーツの上に被せた。じめじめした狭い密室に、俺たち二人は閉じ込められる。

「あついし、く、くさい……俺のおしっこの匂いが……うう」
「黙れって、今の車の音オカンや」
「えっ」

 毛布を少し浮かせて、外の音に耳を澄ませた。ガチャリ、玄関扉の音。たん、たん、階段を上る音。「亮司ーー? 亮司、あんた大丈夫なんーー?」ノックから扉を開けるまで、一切のタイムラグがない。

 うちの母親と同じ、息子のプライベートを無い物として扱うタイプだ。


 小さくなって毛布の中に潜ると、自分のおしっこの匂いでくらくらする。心臓の音に紛れて、彼の母親の声が聞こえてくる。

 俺には気づいていないようだが、さすがの白峰も生きた心地がしないのか、毛布に突っ込んだ手をきつく握りしめていた。

 俺はそれを優しく撫でる。応援のつもりだったが、瞬間、彼の声が裏返った。



「なんやの、汗くっさいわこの部屋……窓開けなさい!」
「わ、わかった、わかったって、まだ頭痛いから出てってや」
「ほんまにもう……」


 たん、たん、たん、階段を降りる音――――……


「ぷは……っ! うう、おしっこくさいぃ……」
「誰が漏らしたと思ってんねん! ああもう……ほら、続きやるで」
「え! でも、お母さん帰ってきたやん」
「バレへんようにせえ、バレへんように」


 白峰は窓を開けろと言われたのに開けないし、むしろカーテンをしっかりと閉じ、夜空を遮断した。



「前にもあったやろ、こういうの


 キャプテンたるものビクビクするな。そんな風に言われると、俺はお股を開く他ないのだ。






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