青年島主×ビッチ人妻♂

青年島主×ビッチ人妻♂

※青姦、見せつけ
※触手拘束
※ちょっと無理矢理
※チンカスあり





「おっちゃん! 待って、俺も乗せて! その船……っはあ、はあ、待ってって……!」

 この島と本土を行き来している小さな貨物船は、俺から逃げるように出発してしまった。

 同じやり取りを繰り返して、もう一年になる。




「はぁ……っ、はぁ……っ、くそぉ……」
「すまんなあ、島主さまのお達しなんじゃ」

 まだ太陽が昇り切っていない船場で立ち尽くしていると、網の手入れをしていた漁師たちが哀れむように話しかけてくる。

「いやぁ、でもお嫁さんがいてくれようから、今年は豊作豊作」
「シケが来たときはあかんと思うたが……島主さまのお力は、やはり妻あってこそ発揮されるんじゃ」


 噂をすれば影だ。出会ってから丸々四年が経過し、俺よりも頭一つ分大きくなった利人がこちらに向かってきている。

 ゆったりと歩いているが、彼の気配自体はずっとそばに感じていた。
 ここまで走って来た時、不自然に足元に絡みついてきた植物から、利人の手の温度を感じていた。


「……そう辛そうな顔せんことじゃ、自然が豊かでええ島よ。それに明日は、島主さまが成人を迎えられる。さて、でかい獲物釣らにゃあならんな」

 腰を上げた漁師たちが船に乗り込む。皆利人に頭を下げると、薄暗い海の向こうまで行ってしまった。

「千弦。またこんな時間に抜け出して……いかんよ、勝手に家を出たら」
「利人……お、お願いだ、島から出たいんだ……帰らせてくれよ! なあ、頼むから!」


 一年前、豊穣の儀式をするまでは自由に出入りできたのに。

 利人は俺の目をまっすぐ見つめて、両手で頬を包み込んできた。逃げなきゃ、そう思って後退るが、また蔓が足に絡んできて、俺は尻餅をついてしまう。


「目覚めの口づけ、まだしとらんね。愛しい千弦」


 この島では、男も女も19歳で成人になる。

 明日、彼が成人を迎えてしまっては、本当に逃げられなくなる気がしている。
 根拠はないが、足に絡まる蔓が日に日に強力になっているから、きっともう、タイムリミットはすぐそこまで来ているのだ。




***




「え……あ、あれ、今何時だ……?」

 眠った覚えはないが、気が付けば昼間だった。

「おお、お目覚めかいね! ほらほら、旦那さまの晴れの日ぃよ!」
「ようやく、正式に夫婦になるんやねえ。おめでたいですのう」
「は……? え、なんで、成人の日は明日だって……」

 慌てて身を起こすと、さらさらと木々が揺れる音がした。島の中央にある大樹の下に寝かされていたようだ。

 幸せそうな島民たちの中には、目に涙を浮かべている者もいる。咲き誇る色とりどりの花、大量の料理と酒の匂い、中心で笑っている利人。


 ああ、もう取り返しがつかないんだと悟ってしまった俺は、再び木の根元に寝転がる。


「う、うぅ、帰りたい……母さん父さん、兄ちゃん……っ」
「千弦」
「あ……っり、利人……」

 隣に腰を下ろした彼は、藍色の羽織の袖で俺の涙を拭った。

「この島の名前、知っとう?」
「……十九島」
「それは表向きの名前」

 周囲に小さな無人島が十九あるから、と以前教えてもらった。だからこの島の成人も19歳なのだと。


「拷問島。この島の、本当の名前」


 ぴたり、島民たちの騒ぎ声が消える。

 教えてよろしいのですか、と誰かが恐る恐る声をあげた。


「この島は重罪人と、その子孫たちが暮らす島。そして俺たち島主の一族は、流されてきた罪人を管理したり、裁くのが仕事」
「は……? はは、な、なんだよそれ、島流しって、いつの時代だよ」
「だからな、千弦。この島には拷問道具がたくさんあるんよ」

 ひゅ、と喉の奥が鳴る。羽織ごと俺を抱きしめてきた利人は、聞いたことのない低い声で囁いた。


「千弦。わかる、な?」



 俺は何も言い返せなかった。奥歯がガチガチと震える。利人は俺の青ざめた顔を見ないフリして、高らかに宣言した。

「さあ、皆! 待たせてすまない。始めようか、成人の儀式、および婚礼の儀式を!」

 島民たちの顔がパァっと晴れたのは、俯いたままでもよくわかった。
 海岸の方からは漁師たちが駆け寄ってくる。長靴が奏でる独特の足音。その内の一人は、誰か若い男を担いでいた。

「島主さま、来賓をお連れしました」
「ああ、ご苦労……千弦、婚礼の儀式は以前説明したね。妻の身内を一人だけ島に招き、その者の前で子作りをする。妻の血縁者に見守られることで、健康な子供が生まれると言われとるから」

 ぐったりとしているその男は、大樹の向かいにある祭壇の前に下ろされた。


 木漏れ日がまぶしかったのか、苔生した石造りの祭壇が冷たかったのか、彼はゆっくりと目を開ける。

 目が合うと、掠れた声で「ちづ……?」と俺を呼んだ。


「……兄ちゃん……」



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