▼ワンコ系後輩×飼い主系先輩
ワンコ系後輩×飼い主系先輩
夏が始まる前に言われた。夏が終わったら抱かせてほしいと。あまりに真剣な顔で言うから、気圧されて頷いたのを覚えている。
「先輩、先輩、せんぱい……っ」
あつい。
服の中、汗、唇、舌、あつい。服脱げた。脱がされた。全裸だ。二人して素っ裸。それでもあつい。暑いというより熱い。
「先輩、せんぱい……っ かわいいっす、せんぱい、すきっすき……」
「わかったよ、ぁ、あ……っ待て、ゆっくり、んあっ もっとゆっくり、あぁ……っ」
あつくるしい。俺も彼も体温が高い。まずこの場所があつい。真夏、小窓一つしかない部室、送別会が終わった直後の午後3時。
膨れ上がった性欲がそのまま体当たりしてくるみたいだ。尻の割れ目をガツガツと、容赦なく突き上げてくる。
「んっ、お前……っは、よくそんな気分になれるな、って、んあっ おい、今俺喋ってんの、っんう」
「すみません待てないっす」
「っこの、あっあっ…… ばか、ゆっくり、ひっ いきなり、あっ んっ いきなり、すんなっ あっああぁ……あ、ん〜〜っ」
この場所はつい数十分前まで、後輩からの感謝の言葉だとか、寄せ書きだとか、写真の撮り合いだとか、清らかなものに包まれていた、のに。
「んっ ああっあっま、待て押し込むな、あっ むり、ばか、むりっあっあっああっ」
「先輩キツすぎ、はあっ気持ちいいですか、ねえ、先輩……ちょっとマジで締めすぎっ」
「っう、お前、が、がっつきすぎ……ぁ っく、ぅう、ん……」
「キッツ、っふ、かわいいんで、まあっ許しますけどね、っく、はあ」
「あっ ん ん、ん ん〜〜っ」
――――脳が蕩けたような顔で、よだれを垂らしながら見下ろしてくる……
このアホ面が一年生ながらに背番号を持っているのは、化け物級の体力と不屈のメンタル、そして彼の性格をそのまま模したような剛速球があったからだ。
ただ、それを発揮するのは試合中だけにしてほしい。汗臭い野球部部室で、俺を長椅子の上に押し倒し、べろんべろん舐めるのはやめてほしい。あつくるしくて気が変になる。
「はあーっやべー、あーっまじやべえ、先輩抱いてるよ俺……っ」
「っく、そ、っ あんま声出すな、あっ……ん 外、他の部活、やってっから、ああっあっひ、あぁぁああっ」
「っふ、はは、声出てんの先輩、っすよ、はあ、はあ……っ」
「うる、しゃ、ああっあっ はあーっ ん、あ、んっ んん、んぁ、んっんんっ」
――――こいつ鼻血まで……! まじで引くわ、という顔をしたら興奮するだろうからしないでおこう……
雨宮は人懐っこいが優しくはない。
今だってきっと、俺が「声出すな」と言ったタイミングを狙い、大きく揺さぶってきた。この短時間で、俺がその動きに弱いと見破ったのだ。
ぼた、ぼた、と垂れてくる汗と鼻血に構う暇などないと、雨宮は一心不乱に腰を振る。中学の時からやりたくてやりたくて溜まってたんです、なんて恐ろしい事を言いながら。
「あっつ、なあ、あついって、雨宮……ぁあ、はあ、ああもう、汗やっべ……くさいからぁ……んん、んぅ……っ」
「せんぱい、すき、汗もすきっす、はあ……かわいい、かわいいです、はあ……っ」
「っひ、うっわ、ばかだろ、あっ んなとこ、舐め、んああぁ……っ」
「はあ、超汗の匂いします、べったべた、はは、興奮する……」
両腕を持ち上げられ、何かと思えば脇の窪みを舐められた。男の、脇の、窪みを。
ドン引きして固まる俺をよそに、雨宮は窪みから胸、胸から横腹、へそ、太ももの内側、また脇に戻り胸、横腹、へそ――――ずっとハメていたものを一度抜き、かわりに舌で愛撫してきた。アイスの蓋を舐めるみたいにべろーっと、じっくり味わっていらっしゃる。
「うっ……変態! おま、おま、おまえ、ありえねえ、なに、まじで、あ、あっあっ……や、やめろぉ、あっあん……っ」
「はあ? 無理なんすけど」
「なんっ、で、逆切れ……っう、あ、うそ、まじ、それはない、それはないそれは……っぁ、ああっ……んあっ……あ、はあ、あああっうそうそ馬鹿お前ぇえあっあぅ、ん、ああぁぁ……」
さっきまでそこに自分のちんこが入っていたのに、しかもそこは、絶対に舌を這わせるような場所では、ないのに。
「っんんんぁ……! あっああっあっ、ん〜〜〜〜……っあ……〜〜〜〜ぁんんんんっ」
「はあっはあ、せんぱい気持ち良さそ、はあっ絶対弱いと思ったんすよ、俺、はあっ何回も揉んで、はあっ、ちょっとずつ開発してたんです、はあっ」
「っく、ぅ、ん ああっあめみぁ、あめ、み、ああっ やめてほんと、やだ、べろ、らめ……っああってめえ、ああっあっああ〜〜〜〜」
彼は戯れで尻を揉んでくる事はあったが、それは他の部員にもしていた事だ。人懐っこい彼なりのコミュニケーションだと思って誰もが放置していた。
ああ、まずい、舌ってこんなに気持ちいのか、やばい、入ってくる、やばいやばいやばいやばい すっごい入ってくる もっと、もっと でも恥ずかしすぎる 尻の穴べろべろ舐めるとか、まじで犬かよこいつ、犬の交尾かよ、うわこっち見てる、すっげえ興奮した顔……っ
「んあぁあんっ ああっ これ、あっ ああーっ」
「ふふ、他のやつは叩いてただけ、先輩のはえっちな揉み方してたでしょ、はあ、もーーーー、このおしりかわいすぎ……」
「っう あ うあ、うあ、うぁああ やっやめ、やめ、ああっ あんっあっあんっんっんっんぅ〜〜っ」
いわく、中学の部活で一緒になった頃から揉まれ続けた俺の尻は、すっかりメスの性器になっている、とのことだ。
マウントに立っている時より凶悪な顔。はっきり言って気持ち悪いし、彼が美形であることを差し引いても気持ち悪いし、なんというかもう、気持ち悪すぎる。
***
「うう……っ おまえ、きもいよぉ……っ」
「先輩はカワイイので、足したらいいんすよ はい、足しまぁす……」
「ひっ」
さっきまで俺の尻を舐めていた口でキスしようとしてきた。気持ち悪くて頭のおかしい後輩。俺は当然顔を背ける。すると無防備になった首筋。雨宮は強く吸い付いてきた。
ぢゅっ と唾液の音と感触、ああ、気持ち悪すぎる、ああ、ムラムラが止まらない……
「んんっ う〜〜……っ あっあっ、あ、ん、硬い、あっ…… べろより、硬いぃ……っ」
「はあーっ、ゆっくり、ゆっくり、先輩を傷つけないように、はあっがんばれ俺、ゆっくり……っ」
「んああぁ んぁあ、あっあっ ああ、あんっ…… あっ、どこが、ゆっくりだよ、ああっ」
自分に言い聞かせているのだろうが、体は早く動きたくて仕方ないらしい。雨宮は「ゆっくり、ゆっくり」と呟いてはいるが、腰の動きはどう考えてもゆっくりじゃない。
「んっ ああっ……はああっ あっ、あ、あ、ん、あん、あっ」
「せんぱい、やべーっす、ああ……っせんぱい、せんぱい、せっくす、きもちーっすね……」
「っく、ぅ、ぁん そこ、やめろ、あっあっああーっ ん、はあ、あっん、うん、そこ、そこ、あっだからだめ、だって、あんっ」
「せんぱい、表情と言葉が全然合ってない、すっげえきもちいいって顔してる、はあ、えっちですね……」
ぱんっ……ぱんっ……ぱんっ……ぱんっ
突く、というより押し込む動作。ガチガチのちんこを根元までぐーっと押し込んできて、抜くときは早かったり焦らしてきたり。そしてまたぐーっと挿れて、ああ、今はゆっくり、抜かれると、ああっ 余計に、感じちゃうから、いやなのに……っ
「あめみや、ああっ おまえほんとに、童貞っ? せっくす、うますぎねえ、あっあっ、やべーよもう、ああんっ おれ、きもちすぎて、やべーの、ああっあああ〜〜っん」
「っ、はあっ先輩、よかった俺、ちゃんとできてんすね、はあっはあっ……はあ、はあっ……」
「あっああっ ひいっ ひ、んっ あ、んっあんっあんっあんっ」
しまった、余計な事を言ってしまった。雨宮は自信満々のギラギラした目で、徐々に激しく打ち付けてきた。ああ、こいつマウントでもそうなんだよなあ、俺がフォームを褒めると、こういう目をして、キレッキレのストレート、際どいところにぶち込んでくる、あ、やばい、ぞくぞくしてきた、ああ、ああもう、汗臭い、暑い、脳溶ける、溶ける……
ぱんっ ぱんっぱんっぱんっぱんっ
ずちゅっ ずちゅっ ずちゅっ ずちゅっ
ぱんっぱんっ「あっああっ あっん、んぁ、ああ〜〜〜〜っ」ぱんっぱんっ ぱんっぱんっぱんっぱんっ ぱんっぱんっ「せんぱい、あー……、最高……っああー……いい、はあ、せんぱい、せんぱい」ぱんっぱんっ ぱんぱんぱんぱんっ ぱんぱんぱんぱんっ ずちゅっずちゅっ ぱんっぱんっ
「ああぁあ、いく、いくぅ〜〜……っ い、かせて、もっと、もっと押し込んできて、きもちいとこぐりぐりって、あっ……あっ……ああっそこ……そこいいっ」
「先輩っはあ、俺もう何回かいってます、はあ、今朝も抜いたのに」
シャワーを浴びたみたいに全身びしょぬれだ。ぱんっ ぱんっ と体がぶつかるたび、二人分の汗が混ざって、重力に逆らえないそれは全部俺に向かって垂れてくる。
股間の辺りが一番ぬるぬるで、そこから香ってくる何ともいえない匂いがやばい。くらくらする。気持ちいい、ああ、こいつのせいで俺も変態になってしまった。この臭さが気持ちいい――――
「せんぱい、はあっはあ……っ先輩のパンツで抜いたのに、朝からどばどば射精したのに……っ精液とまんね、ずーっと作られてんの、はあっ 全部の体液、が、精液になりそうっす、血も汗も、はあっはあっはあっ」
「てめえ最近パンツねえと思ったら! てめえかよ、ああっ」
「ごめーーーんでもすきですっ あっあっいっしょにいきたい、先輩合わせて、俺に合わせていって、はあっもうちょい、我慢して、あっ、っく、う、せんぱい、はあ」
「〜〜〜〜っ が、まん、ああ、っく、ぅ〜〜〜〜 むり、むりぃっ あああ〜〜〜〜……っ」
親の目が届かない寮生活、自分で片付けられないやつはよく物を失くす。俺もずぼらなところがあるからパンツの一枚や二枚、三枚や四枚……いや、いくらなんでも失くしすぎだとは思っていたが。
「はあっ はあ……っ あんっ い、く、ぁぁああ も、まじで、あっ いくっあああっ お前抜けって、あっあっ すっげ、でる、でるっあっいくっ いくっい、っぐ、いぐっ あああっいく〜〜〜〜〜〜っ」
「う、ぁ……っく、しまる、ああっ先輩に中出し、あっあっ、はあ、やっべ、あーいい、せんぱいすきすきすきすきすきです……っ」
「ひ、ああっ これ以上入んねえって、はいんねえ、のっ ああっあっきもち、ばか、はいってこいよ、奥もっと、ごりごりしろぉ……っ ごりごり、してえぇ〜〜……っ」
「はいっ ああ、っぐ、あー、きっつ、きつい、きもちいきもちい、ああ……っ」
長椅子の脚が折れなければ、俺たちは朝までセックスをしたかもしれない。