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引きこもり美形弟×平凡卑屈兄2


「んっ、く……ぅ、はな、せ！　離して陸斗、っん、う」
「兄ちゃんが言ったんじゃん、恋人作れって」
「っふざけんな、何で、俺、っん、んん〜〜……っ」


　長い指で顎を掴み、無理やりキスしてくる。顔を背けて手を振り払うと、次は顎ではなく、首を掴まれた。

「ぁ……っぐ、くる、し、っはあ」
「そっか、ごめんね」
「はあ、はあ……っう、んんぅ、んぐ、ぅ……っ」

　首の皮膚を引っ張られて、唇を塞がれる。何が起きているのか分からない、ただただ息が苦しくて、生理的な涙が浮かんでくる。

　陸斗から離れようとすると、余計に締め付けがきつくなる。屈辱だったが、俺は彼に身を寄せるしかなかった。

　胸板に頭を預けると、陸斗は首から手を離し、満足そうに微笑んだ。だが懐に入ってしまえば、もう逃げられない。後頭部を押さえつけられ、再び深くキスされる。喉奥まで舐めるつもりかと、吐きそうになるくらい濃厚なやつを。

「っふ、ぅ、うう〜〜……ん、っぐっ、はあっはあっ、いやだ、やめ、ろ」
「兄ちゃん、俺とキスできたね、十分恋人になれるね」
「ひ、ぃやだ、どこ触って……っ、ん、ぐっ　やめろ、きもち、わるい……っ」

　冷たい手が、腰の骨を撫で上げてきた。そのまま脇腹、胸板と蛇のように触れてきて、胸の左側で止まる。

「ぁ、あ……っ　陸斗やだ、やめろっ、ああっ」
「でも、ここ勃ってる。この調子だとセックスもできそう。よかった、兄ちゃんと俺、恋人になれそうだね……」
「ひぃっ　う、うぁ、ちが、勃ってなんか、んっ　冷たい、だけ、お前の手が！　あっ　あっ　いじんな、そこ、つまむなって、ぅああっ」

――なんだこれ、乳首なんて何も感じないはずなのに、どうしてこんな、全身がびりびりするんだ……！


　身体の力が抜けてしまって、うまく抵抗できない。ずっとキスをされているせいで息もできないし、なんだかぼうっとしてきた。まだ首の違和感も抜けなくて、だめだ、ズボンを脱がされてしまった。


「はあっ、はあ……っう、うう、陸斗、なんでぇ……っお、俺が、陸斗に嫉妬して、ひどいこと言ったからぁ……？　ひっく、う、うう」
「ひどい事？　はあ……相変わらず兄ちゃんは優しいなあ、あんなの暴言に入らないよ」
「じゃあ、なんで、あぅ」
「ふふ、兄ちゃん、ちょっとは頑張れって言ってくれたから、頑張ることにした……　俺、今まで甘えすぎてたよね、これからは頑張ってみる、兄ちゃんが応援してくれたから……」


　何を言っているんだ彼は。俺の言葉がまるで通じていない、頑張れと言ったのは、そういう意味ではないのに。

　床に押し倒され、服を剥ぎ取られていく。嘘だろう、このまま弟に犯されてしまうのか。

「ああ、背中痛いかな……おいで、俺のベッド行こう」
「い、行かない、っひ、う、わかった、わかったから、行くから、うぅ、んぅ〜〜……っ　っく、それ、やめてぇ……っ」
「かわいい、すごい興奮してきた。ほら、こんなになっちゃった……」


　股間を押し付けてきて、彼は「硬いでしょ」と笑う。
　陸斗はベッドの前に着いても俺を離さず、すりすりと顔をこすりつけてきた。

「はあ、はあ……ぅ、うう、いやだ、りくと……っ」
「はじめては誰だって怖いよ、俺も頑張るから兄ちゃんも頑張って」
「そういう話じゃない……っぁ、あ、ん、んぁぁあ……っ」


　どさり、冷たい掛け布団の上に寝かされた。俺の服はほとんど脱がされていて、靴下だけが足に引っかかっている。対して、陸斗はズボンのスウェットを軽く下ろしただけだ。

　下着の中心にシミができている。こいつが俺に欲情しているのは、どうやら嘘ではないようだ。

「お、俺たち、兄弟だろ……？　なあ、っあ　ん　かんがえ、なおせって……っ」
「考え直したんだよ、すでに何回も」
「あ、ん、ぁん……っ　い、いやだ、いやだぁ、あ、あっ……っく、ぅ……っ……っ」
「声抑えないでよ、兄ちゃんの可愛い声聞かせて」


　とにかく彼には話が通じない。言葉の通じない獣と向き合っているみたいで、恐怖で指先が震えてきた。

　陸斗は俺の気持ちなどまったく無視して、指を一本一本絡めてくる。「優しくするから怖くないよ」だなんて、そういうのは彼女にでもいうべき台詞で、俺に言う事ではない。


「ぁ、んん……っく、はあ、はあ、んん〜〜……っ」
「触るよ、兄ちゃんのここ、えっちなところ、ふふ、おまんこにしてあげる……」
「い、ぃ、ああっ　ひ、汚い、って、ああっ！　う、あ、あぐっ、い、痛い、ひ、ぃ……っ」
「ああ、ローションか何か……無いや、俺の唾でいいか」
「ひぃっ、あ、あぅ、ああぁあ……っ」

　べろぉ　と、生ぬるいものが尻に当たる。陸斗は俺の脚を束ねて持ち上げ、がら空きになった尻を犬のように舐め始めた。
　ぺちゃぺちゃ　くちゅくちゅ　わざと沢山唾液を出して、卑猥な音を響かせている。

　その音に交じり、ぞっとする音が聞こえた。玄関が開く音だ。
　続いて、階段を昇ってくる足音。鼓動が早くなる。母が帰ってきたのだろう、「陸くん、海くん、お部屋にいるの？」どんどん近づいてくる、まずいまずいまずいまずい、けれど、体が動かない。


「り、りく、と、っ　か、かあさんがっ……っん　おねがいやめて、おねがい、かあさんに見られ、る、んっく、んぅ〜〜っ　ふ……っ　ふ、ぅう……っ」
「母さんを追い返したら、俺の恋人になる？」
「え、そ、それは……っでも、あ、ああっ　やめ、やめろって言ってんだろ、ひぃっ」

　舌が、中まで入り込んできた。ありえない。兄の尻に舌を突っ込んで、手入れなんてまるでしていない陰毛に顔を埋めている。それも、うれしそうに。気持ち悪い。本当に気持ち悪い！

「ぅ、ひっく、ひっく、ふぇえ、ぅええん……」
「兄ちゃん、毛、うっす……　かわいい、はあ、えっちで濃い匂い……」
「や、ぁ、ああっ　やめてっ　やめてってば　わか、った！　わかったから、なる、恋人、なるからっお願いりくと、りく、んぁっ」
「ふふ、ありがとう」


　ノックの音がする直前、陸斗は俺に布団をかぶせた。そのままスウェットをずり上げて、扉を開き、母に笑顔を見せる。

「騒がしいけど、喧嘩？　海くんは？」
「ゲームが白熱して、ちょっとね……兄ちゃんは目が疲れたから寝てる、ほら、あれ」
「そう、ゲームはほどほどにね」



　心臓の音がこんなに大きくなるのは初めてだ。陸斗は一切の動揺を見せずに母を追い返し、扉の鍵を閉めた。

「兄ちゃん、俺、引きこもり始めてから気づいた事が二つあんの」
「な、に……」
「兄ちゃんがだいすきって事と、引きこもるのが案外、性に合うって事」

　陸斗は笑っていた。さっき母さんに見せていた自然な笑顔とも違う、他人に好意を寄せられた時の、うんざりした苦笑いとも違う。

「だからね、俺のちんこも引きこもりたいんだ、兄ちゃんのおまんこに……」


　心底気持ち悪い、にやけた面だ。

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