胸焼けのような痛い恋心を見つけた時には、決まって空を見るのだ。 「なんで、こんな恋ばっかなんだろうねえ?」 恋だなんて言葉、己が使ってはいけないのだろうか。男勝りな言動を控えれば、そんな呪いは溶けて消えるのだろうか。そう思って、晴れ渡った空を見る。 ――皮肉なくらい、自らの心とその空とは違う。曇りを表す胸中は、ずっとざわついている。 「ねえナンバー5ー? 空なんか見てたのしー?」 「ん? ああ、ナンバー3か。いや、楽しくはないけどね」 「じゃあ、レインボーモンキーごっこして遊びましょうよ!」 キラキラ光る瞳でこちらを見据え、ナンバー3は可愛らしい猿の、鮮やかな色をした人形を抱き締める。それは、レインボーモンキーという、女の子に大人気の人形であり、この問いかけは、ナンバー3なりの優しさであった。 曇った顔ばかりをするナンバー5を見かねて、つい、誘ってしまったのだ。ナンバー2は「今忙しいの!」としか言ってくれないし、4は「おれは宿題あるんだよ!」と、柄にもないことを言っているし、1は外でなにやらしている。そんな中、3はなんとなく自分が5に声を掛けなければ、と、なにかの指令かのように意気込んでいた。 「んー、いや、アタシはいいよ」 「えー! でも、ナンバー4は遊んでくれないしー、ナンバー1はー」 そこで5は微かに、眉間に皺を寄せた。 「ちょっと、ナンバー1の話はしないでくれる?」 「え、もしかして喧嘩、したの?」 「ううん、違うんだけどね、名前を聞きたくないんだよ」 「そっかあ。ごめんね、ナンバー5?」 「ううん」 詮索をしてこないナンバー3でよかった、と、ナンバー5は思う。 ぼんやりと髪をいじっていれば、その手を、なんでこんな女っぽいこと、と止める。それから、――窓の外にいるナンバー1を見つける。なに一つ変わった様子なくそこにいるリーダーは、どのメンバーよりも、きっと輝いている(頭についても含めて)。 「ハゲでデカ尻」 小さく1に対して悪態を吐いてやれば、1の隣に寄り添うように現れたクレイジーな1の彼女を見つけて、舌打ちをする。1の隣を、どうすれば奪えるのだろうと考えて、やめた。好きな男に弱いから、幸せを願ってとかそういうわけじゃない、なんて心の中で尖ってみせて、 「ナンバー3! 仕方ないから遊んであげるよ!」 「ほんと〜? わーい!」 自分らしい自分を、造りあげる。 光る頭を 愛しいと思う −−−−− ずっとやりたかったKND小説です。軽く5→1。タイトルだけコメディ。 20090731/ゆゆむら |