緊張しているんだろう…
その姿を見ただけで喜びが込みあがって気の利いた言葉を言おうとすると吃ってしまう


田舎独特の空気が改めて私の鼻からスゥーっと入ってきた



***


私には変わった友達が一人いた。
別に彼が変な言動をおかしたわけではない。彼の雰囲気そのものが私達に『変』という印象をもたらしたのだ

名前は確かーーー石田、三成…そんな名前だった。


変わった奴だった…だけど孤高として物欲ではなさそうなあの目を見れば心の臓が掴まれてドクリと脈打つのが感じられる


思わず見入ってしまうそんな目を持っていた

無欲な彼の周りには自然と人は集まらなかった。
でも私は彼に惹かれた。
あの眼の奥にある何かをもっと見ていたいから…



そして、私は彼にこんなことを言ったのだ




「−−−−裏切らない、いつでも相互のことを考える友達になろう…」




自分でもバカバカしい、思わず鼻で笑ってしまいそうになるセリフが口から出てきた。

彼は嘲笑を一つして


「好きにしろ…」



これが始まりだった。
それからというもの、私は幾度となく三成と話した。
彼が剣道を幼少のころから習っているということ、彼が尊敬する秀吉さんの話…



だけど三成は消えた。何の前触れもなく消えた
消えたと言えば物騒に聞こえるかもしれないが、そのぐらいに私の心が驚いたのだ


私は哀しみというより絶望に近い感覚に陥った。
彼が消えただけでこんなに苦しくなるなんて…


噂によると三成はこの田舎町から都会へと越したそうだ。



何故、私に言わなかったのか…


私は嫌われていたのかもしれない…


そう思うと吐きそうになるぐらいに胸が痛んだ。




いつしか惹かれていた感情は憎しみへと変わり三成を忘れるということでこの気持ちを処理した




***



あれから3年という月日は長かったのか、短かったのか…
偶然と言えばいいのか、私がよく来る綺麗な並木がある公園で三成に会ってしまった。
この場所は三成がいなくなった後、見つけたものだ。



だけど三成が何故こんな場所にいるかなんて今の私には思慮する余裕なんてない。


「ひ、久しぶりだね…三成…」

あまりにも三成が感情のない目で私を見つめてくるので声が思わず裏返ってしまった。
そして私は喉の調子を整えるために咳を一つした


「あぁ…3年ぶりだな…」



しばらく沈黙が続き居心地の悪い空気が取り巻いた


「貴様は…」


その嫌気がさす空気の中、三成の形の良い唇が動き始めた


「貴様は何故、私を探さなかった?」


何言ってんの?やっぱり変な奴だ…
自然と私は怒りが込みあがってきた


「何が探さなかったなの!?何にも言わなかったくせに!!…何が…何が……」


目に涙がたまっていき私は必死にこらえようとした



「貴様の性分なら私を探すと思っていた」



確かにその通りだ。でも私には、なす術が無かったのだ。
どうしろと言うんだこの人は…



「……現に私は今こうして貴様を探しに来た…貴様の真似をしてな…」



ざわめく並木の中、三成の声がクリアに聞こえた
それと同時に私の心もざわめいた



あぁ…私はあなたにあの時から恋をしていたのですね

今も高鳴って、煩わしい私の心はあなたのせいだ





あの時から…





この想い、追尾



逃げても、逃げてもソレは付いてくる厄介なモノです



END


久々に書いたらこんな変な作品がぁぁ…

自分でも何書いてんのか分からん…

三成side書きたいけど書く暇がない…


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