「石田君!!!今日も体育の時間、かっこ良かったよ!!」



クラスの大半の女子たちは石田三成・・・・石田君の周りに集まっていた。


石田君は女子になど目もくれず、ただひたすら片手で持った小説らしき本を読んでいた



彼は人気があった。
いつでも冷静沈着、容姿も端麗で頭も良い。おまけに運動神経も良いときたら、恋を夢見る乙女たちには理想の存在なのかもしれない・・・




だが、私は好きになれない・・・
何が良いのか分からなかった。
いつでも無表情で、何を見ているのか分からないあの目・・・・
見てるだけでビリビリと電流のようなものが私の体を走らせる。



そんな人をみんな「かっこいい」と言っている。

何を見てかっこいいと思うのか・・・・わからない




「七恵、また奴のことを見ているのか?相変わらずだな。」


私の友人かすがが笑いを含んだように話しかけてきた


「かすが・・・私は別に意識して見てる訳じゃないんだよ?ただ・・・あいつのどこが良いのかなって・・・」


かすがは私の席の机の上にそっと腰かけながら私の話をフムフムと頷きながら聞いていた


「・・・私もあの男の良いところはわからないな・・・」

「でしょ?なんか怖そうだし・・・私は苦手かな・・・」





分からないことだらけだ・・・・
今日も暇さえあれば自分の席から見える石田君の後ろ姿を見ていたが何も分からなかった





***



私が通う道には長くて急な階段がある。
その道を私は毎日手すりをしっかりと両手で持ちながらゆっくり、ゆっくりと上り下りしている



「やっぱり今日も石田君、かっこよかったね〜!!」


私がゆっくりと階段を降りていると後ろの方でそんな声が辺りに響き渡った
チラッと横目で確認するといつも石田君の周りにいる女子三人組がいた。


「かっこよかった・・・あぁ・・・石田君の微笑む顔が見たいよ・・・」


「そうだよね!!・・・キャッ!!」



後ろで興奮しながら階段を駆け下りてくる一人の子が私の存在に気付かず私に思いっきりぶつかってしまった
その瞬間、私の思考回路は止まり、時間が止まったように私はゆっくりと景色が落ちていくのがわかった




あぁ・・・これは痛いだろうな・・・・
すぐに完治する怪我になりますように・・・


そんなことをのんきに考えながら私はギュッと目をつぶった



・・・・・・あれ?



もうそろそろ痛みを感じてもおかしくないのに全く痛みは感じられない・・・・



目を開けると私は誰かに腕を掴まれていて、この人に助けられたんだということが分かった

私の腕を掴む手は血が流れていないんじゃないかと思うぐらいに冷たかった・・・


「「「石田君!!!」」」


周りにいた女の子たちが声を揃えて叫んだ



石田君・・・助けてくれたのは石田君か・・


えっ!!!石田君!?
あの人って人を助けたりするようなキャラなの!?

振り返ると今まで見たことがない距離で石田君の顔が見えた


その顔は私の知っている冷たい石田君じゃなくてなんだか柔らかい雰囲気の石田君だった



石田君は私から手を放すと女子たちの方に視線を向けた


「貴様ぁ!!何をしている!!生田が怪我でもしてたらどうするつもりだ!!」


私にぶつかってしまった女の子は石田君に怒鳴られて涙目になっていた


「私は大丈夫だよ!!私が注意して歩いてたらこんなのことにならなかったのに・・・ごめんね?」


私は宥めるように涙目になっていた女の子に言った


「ご、ごめんなさい・・・」


それだけ言うとその子は走って階段を降りて行ってしまった

それを追いかけるように残りの子たちも階段を降りて行った




あーそりゃあんな顔で怒鳴られたら誰だって泣きたくなるよ・・・




「生田・・・大丈夫か?」


「ふぇ?だ、大丈夫!大丈夫!」

手をぶんぶん振って私は怪我をしていないことを示した



「・・・そうか」



優しい?のかな・・・石田君って・・・・


こんなに丸い感じの石田君は見たことがなかった・・・
私、毎日観察してたのにこんな石田君見たことないよ・・・


いろいろ考えていると石田君は階段を降りだしてしまった



あ・・・・私まだ・・・



「石田君!!」


石田君は立ち止まって私の方にくるりと振り向いた



「ありがとう!!また、明日ね!!!」


目を丸くして私の言葉を聞いた彼は少しだけ微笑んだ気がした


「あぁ・・・また、明日・・・」



そうするとまた階段を降りて行った




今、現在からあなたの見え方が変わりました



(明日が楽しみだな)


春の兆しが感じられるようなそよ風がやけに心地よく感じた




リンクマイハート






黒様、リクエストありがとうございました!!


甘めというリクエストだったんですが・・・

どこが甘いんだぁ!!!

というような内容になってしまい、本当に申し訳ないです。




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