やることを色々やっていたら気が付けば夕方に差し掛かっており、今日の夕飯の買い物に行くことになった。

今日の夕飯は中華物に決定し、買い物を済ませ仲良く家に帰ったのは良かったがうっかり買い忘れをしてしまい、慌ててジャンケンをした結果私が買いに行くことになった。

木綿豆腐と片栗粉を何故忘れた・・・!!と自分を心の中で叱責しながら豆腐がある辺りのコーナーに近づくと急に声を掛けられた。

「小暮か?」

「あれ、笠松先輩こんばんわ」

「おう。小暮も豆腐かなんか買い損ねたのか?」

「あ、はい。今美鶴の家に居るんですけど、晩御飯の材料一部買い忘れちゃったものですから。
 先輩も何か買いに来させられたクチですか?」

「お袋が味噌汁に入れる揚げと豆腐が無いって騒いでてな。アイス買うついでだから来た」

「そうだったんですか」

「小暮は何買うんだ?」

「私は豆腐と片栗粉を買いにです」

誰かと思ったら笠松先輩で、ダッフルコートを着ているせいかどことなく可愛らしく見える気がする。
それから部活の様子という名の世間話を挟みつつ会計を済ませ、いざ今度こそ帰宅。と思い、別れを告げたら額を軽く袋を持った手でコツンと叩かれた。

「割と明るいつってももう暗いだろ、近くまで送って行っつの」

「いや、でも先輩の方が部活の練習時間今日長かったですよね?早く帰って休んだ方が良くないですか」

「そんなに柔な鍛え方してねーよ。帰り道のついでだから気にすんな」

笠松先輩の事だから多分何を言ってもこれは逃げ切れなさそうだ。結局少しの押し問答を繰り返し、折れることにした。

何気なく車道側を歩いたり、近くまでと言っても美鶴の家が見えるほぼ目の前まで送ってくれたりする辺りが流石だなぁと感心してしまう。

「すいません、結局ほぼ家の前まで送ってもらってしまって」

「いいんだよ。じゃあまたな」


インターホンで美鶴を呼び、玄関の鍵を開けてもらい中に入る。
私の顔を見た美鶴が、

「あれ、奈緒どうしたの?何か良い事でもあった?」

と尋ねてくるが、何でもないと返した。
自分の顔が笑っている事には気が付いていたが、まさか多少赤くなっていることには気付いていなかった。



< 心臓が動き出した日 >

tittle by 夢見月



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