長編 | ナノ

02




「名前名前。」

男の子が真田くんに説教され始めたのを尻目に丸井くんが私を手招きした。

なんだろう、と近づけば肩を組まれ耳元で囁かれた。




「仁王とどういう関係?」

「っ。」
(はわわわわ…!)












彼はあくまで自然にしているようで興味深さと真剣さが伺えるが
至近距離にドキドキどころかバクバクと鼓動が止まない。



しかし片や冷静な自分もいて
(どういう関係と聞かれても分からないんだよね。
彼と私の関係にはピンと来る言葉がないし…。)

なんて考える余裕があるのにびっくりした。












「なあ。どうなんだよぃ?」

全く知らない丸井くんは遠慮なく肩を組んだままに囁くように催促する。


素でしているから怖い。







(近い近い近い近い近い…!)

至近距離だから鼓動が伝わりそう。


何とか無理やり自分を落ち着かせながら、丸井くんから少し間を置いた。









「えっと、知人以上友人未満の関係です…多分。」

多分、そう。
友達ではない。もちろん恋人でもないし。

知人とは少し違うから。

















「は!?付き合ってねぇの?」
「え?う、うん。」

目を見開いてこちらを見る丸井くんにたじろく。


「じゃあ、なんでお弁当持ってくんだよぃ?」

「あ、それは仁王くんに頼まれたから…。」
「仁王から?!」

「う、うん。」


怪訝そうな顔から
また驚愕の表情になり肩を揺さぶられる。










頷けば今度は自分の髪をぐしゃぐしゃとかきむしった。

「だあー!謎過ぎだぜ仁王!」
(丸井くんが壊れた…。)












「まあ、丸井落ち着きなよ。
お昼の時間も残り少ないし
名字さんも一緒にどうだい?」
キョロキョロと見渡し声の人物を捉えれば
ふんわりとした儚い雰囲気が漂う学校の中でもかなり有名な美少年の幸村くん。
幾度か事務的な事で話したことがある彼はいつものように、にこりと微笑んだ。
幸村くん、それナイス!」

何故か丸井くんまでにこにことして「ほら」と言いながら丸井くんの席らしきところの隣をポンポンと叩いていた。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -