長編 | ナノ

43


「お前がっ、…真田しか見ねえからだろ…?!
俺がさ、どんな気持ちでいたか分かるか…?」
「…ごめん。」

丸井のその切ない声に謝罪の言葉しか出ない。
丸井の気持ちはまだ良く分からないけれど
私が気持ちを踏みにじった事は分かった。














10分ほど沈黙が続き
何か話さなければと思うほど、言葉が出なかった。

そんな沈黙は丸井により破られた。



「…時間、あるか?今から。」
「あるよ。
…うちに来なよ、待ってるから。」

丸井にはここ最近一番迷惑かけたから、きちんと話そう。私の想いを。















電話を切ってから一時間もしないうちに丸井は来てくれた。

親に以前のようにからかわれたが軽くあしらって自室に通す。



「散らかってるけど、ごめんね。」
「そーか?俺ンとこより断然綺麗だぜ。」


座布団を丸井に渡して謝ると
丸井は受け取りながらキョロキョロと部屋を見渡しながら呟いた。

















座って一息ついた丸井は躊躇しながら口を開いた。

「まあとりあえずだな…。

その、だな…幸村くんとお前が部室でした話は俺盗み聞きした。悪りぃ。」




その言葉にポカン、とした。










え?ぬ、盗み聞き?

(つまり昼の幸村くんとの話は全部バレバレ?)










「さらに言うなら、その場には赤也もいた。」
「え?!あ、赤也も?」

ビックリした私は
つい大声を出してしまった。


丸井はゆっくりと頷いて手を合わせて再度謝って来た。








「ホントにすまん!
朝から様子がおかしかったから、つい後つけたけど、赤也は俺が巻き込んだだけだから。

あー…ホントに悪い!!」
そんなに謝られたら許すしかない。



















と、いうか盗み聞きに大して最初から怒っていない。

むしろどこか安心した自分がいる。



「もしかして、部活辞めたのって幸村くんに言われたからかよぃ?」

「そうでもない。





…こともない。かな。」


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