長編 | ナノ

38


「さて、と。
どこから捜すかな…。」





「…多分…、校舎裏だと思う。」
「校舎裏?」
丸井はちんぷんかんぷんだとばかりの表情を浮かべていたが
私はそれを無視して校舎裏へと走り出した。



丸井はわからない様子だが私の後に着いてきた。

















―――…校舎裏。









そこは良くテニス部のファンが使う制裁の場。

幸村くんもいないのは疑問だけど桜井さんがこんなにも不在なのは恐らく呼び出されたから。


校舎裏に近付けば争っている声が聞こえてきた。





…ビンゴ。















「幸村くんもその子に騙されてるのよ!」
「騙されてる?
何をだい?俺は真実しか見えないよ。」

見えたのは女生徒が五人と幸村くんと桜井さん。

リーダー風の女生徒がヒステリックに声をあげ桜井さんを指差す。







幸村くんは冷めた視線で冷たく言い放った。

「っ…。
ゆ、幸村くんは名字さんにその子が何をしたか知らないじゃない?!」
「名字さん?彼女は桜井さんに何もされてないよ。
君たちこそ噂に踊らされてないかい?」


確信めいた口調にドキリとした。







幸村くんが言ってる事が真実。




幸村くんは全て知ってる…?















隣にいる丸井に無言で視線を向けた。


















丸井はこちらを見ずに幸村くん達に近付いて行く。

「ま、るい先輩…。」


いち早く気付いたのは桜井さんだった。


かなり驚いた様子で口が開いたままだ。










「やあ、丸井。
練習試合、抜けて悪いね?」
「いや…。
それよりさ。これは何の騒ぎだよぃ?」

読めない作り笑顔を浮かべて刺々しく丸井に訊ねる幸村くん。





丸井は気にしてない様子で騒ぎの内容を訊ねた。



私は幸村くんの態度や言動が私のための嘘を丸井が広めたのを確信して分かっているようにしか取れず、どうしたら良いのかさえも分からないまま立ち尽くしていた。



「見てわからないかな?
渚がね、ありもしない事で責められてるんだ。」


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