長編 | ナノ

36


メンバー表を見た跡部が眉間に皺をよせて幸村君に視線を送った。

「おい、お前がダブルスってどういう事だ?」



跡部の一言に幸村君以外のその場にいた全員が固まった。

あの弦一郎と柳君すら聞かされてないのか幸村君をひたすらに凝視している。









「幸村…」
「ふむ、ダブルスのペアが気になるな。」

弦一郎は言葉が出ないのか一言、名前を言った。

柳君はすぐに冷静さを取り戻したのか、もはやメンバー表の内容が気になるるみたいだった。



「クスッ。そういう跡部だって、このメンバー表は今までにない組み合わせだよね?」

またもや部長二人と監督を除き固まった。
今回、どんな組み合わせになっているのかかなり気になる。


「はっ、まあな。
全国では青学に負けちまったが次は高校があるからな。
試させてもらうぜ?」

「なんだ、跡部も同じ事を考えていたのか。
俺も同じようなものだよ。
お互いエスカレーター式の学校だからやることは同じか…。」


二人はそう言って
読めない笑みを浮かべて視線を交えた。



















そうか。
普通は立海も氷帝も青学もエスカレーター式だから高校でもぶつかるんだよね…。

今回ではい、負けて終わり。じゃないんだ。


















「…シングル3は、丸井とジローだな。」


「マジマジ!?俺、丸井君とやれンの?」
「…げ。芥川とかよ…しかもシングルだし。」

跡部がポツリと呟けば
ぱあっと輝きを見せた芥川君は一人で踊り出した。
それを見ながら丸井は至極嫌そうな表情を浮かべた。


本来、一緒に戦うであろうはずだったジャッカルを見れば心配そうに丸井を見て、何かしら丸井に囁いていた。




聞き終わった丸井は手をひらひらとさせてコートに入った。





















結果から言えば丸井の勝ち。

ただ、かなりの接戦だった。
二人共同じようなスタイルだから、中々点が入らなかった。



「くっそー、でも楽しかったCー!!」
芥川君は試合終了後すぐにニコニコと丸井に走りよって、必死に試合内容を熱弁し出した。
若干そんな芥川君に引きながらも適当に相づちを打っている丸井はなんだかんだで優しい。


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