長編 | ナノ

33


昨日言われた通りに試合が始まる一時間前に学校へ向かった。

今日は丸井が朝練だから一人で道を歩いた。


















「名字さん、随分早かったね?ちゃんと休めたの?」

朝練を終えたであろう頃に学校へ着き、部室に入った瞬間だった。





黒い微笑で訪ねて来た。

「いや、うん。
休めれたよ?家でじっとしてれないし。」

「そう、ギリギリまで休んで良かったのに。
倒れられたらそれこそ困るんだよ?」


目を泳がせながら対抗してみたが、幸村くんは瞬時に心配そうな表情に顔を変えた。






良く良く見れば仁王を除く周りのレギュラーも心配そうにうかがっていた。

嘘の体調不良だから本当に大丈夫なんだけどな。





むしろ、後ろめたさがある。






















ふと、気付いた。
桜井さんの姿が見当たらない。


キョロキョロ見渡してみたが、やはりいない。







「あぁ、桜井さんなら朝練が終わるちょっと前にジャッカルとお昼の買い出しに行ったよ。」



そう言われて初めてジャッカルがいない事に気付いた。

ごめん、ジャッカル。
















しばらくして荷物を持ったジャッカルと桜井さんが戻って来た。

「先輩、具合は大丈夫ですか?
今日は特に私を使って下さいねっ。」

私を見て駆け寄った桜井さんはニコニコとそう言った。
本当に良い子なんだよね。





わかってるんだけど…。










「名字、本当に大丈夫なのかよぃ?」

いつの間にか近付いていた丸井に話しかけられた。

既におにぎりを食している。



「うん。本当に大丈夫だよ。
むしろ朝練にも出れたと思う体調だしね。」

安心させるように落ち着いて諭した。

視界の隅に捉えた仁王は嘘なのを知ってるいるからか、にやにやとした表情を浮かべてこちらを見ていた。


むっとして丸井の側に座ったところで
幸村くんが手を二回叩いた。













「さて、皆揃ったところで今日の流れを軽く言うよ。
食べながらで良いから聞いてくれ。」


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