長編 | ナノ

29


「で、何の話?
つか接点あったっけ?

…もしかして何か言われた?」







質問が多くて何から、どこまで言えば良いのか悩む。

「えっと、初めて話したの。
廊下で声かけられて、桜井さんから危害がなくなれば付き合う意味はないから別れるよね?って。」


とりあえず、当たり障りのないように言ったつもりだが
丸井の表情が歪んだのを見て何かまずったと後悔。

















「静がそんなことを…?
で、名字は?何て返したんだよぃ?」

信じられない、と言いたげな表情に変わり
私の肩を掴んで必死に聞いてきた。

「わ、私は
真田くんが好きだからって…返した、けど…。」



掴まれている肩に少し痛みを感じながら答えた。


歪んだままの表情に少しビビりながらも。
















「そっか…。分かった。」

少し虚ろな瞳を見せた気がしたけど一瞬過ぎて分からなかった。

丸井は踵をかえしてコートに入り部活を再開した。







もやもやとしたものが
私の中で広がった気がした。


けれど悩んでいる時間はなく、急いで部室へ向かった。






















部室に行けばちょうど桜井さんが洗濯物を干しに行く時だった。

とりあえず遅れた事を謝りすぐに部活にとりかかる旨を伝えた。


桜井さんはにこりと承諾して洗濯を干しに裏にまわって行った。










「なんじゃ、思ったより遅かったのぅ。」
「仁王。」

桜井さんが去ってから入れ違いに仁王が部室に入って来た。

休憩にはまだ早いから、サボりだな。





「またサボって…。
弦一郎にどやされるよ?」
「ふっ、構わん。
真田は真っ直ぐじゃから騙すのは簡単なんよ。」

軽く弦一郎を馬鹿にした発言だが、弦一郎は昔から騙されやすかったから言い返せなかった。

私がむっ、とした時に仁王は椅子に座ってくるくるラケットの回しだした。





「なあ、どうやってブンちゃんと付き合ったん?」
「ぅえっ?!へっ?え?」


鞄をロッカーにしまってる瞬間で
しかも他人に興味ありませんって感じの仁王の言葉に酷く動揺してしまった。












"どうやって"…
















素直にいうべきか、誤魔化すか…悩む。

仁王に誤魔化すなんて出来そうにないけど、正直に言えば丸井の顔を潰すし。


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