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学校の敷地内に入り、いまさらながらファンの目を気にした。
丸井のペースになすがままになっているけど、本当にファンが付き合ったこと知ったら…
いや、二人でいるのを見られただけでも非常にまずい。 彼はそれがわかっていないのだ。
考えなければいけない。
ファンの対処と丸井の対処を。
いまさら否定したところでもう遅いだろうし、迎えに来る律儀な丸井に悪いと思うし。
…気持ちがないのに付き合うのも悪いけど、それはお互い様だろうし。
「何、キョロキョロしてんのだよぃ?」 「え?や、ファンとか色々。」 「まだ言ってんのかよ。 気にすんなって、何もされねぇーからさ。」
…分かってないんだから。 ファンって言うのは好きな男の前と邪魔者の前では全く違う人物になるものなんだから。
丸井は自分を前にした態度がその人の全てだとでも思っているのだろうか?
だとしたら世間知らずだ。
丸井は、むすっとした顔をした無言のままの私の頭をくしゃと撫でた。
「なんじゃ、仲えぇのぅ。」
後ろからの声で私と丸井が振り返るとそこには仁王の姿があった。
「二人で登校したんか?」 「おう! 昨日から俺と高宮付き合う事になったんだ。」 良いだろぃ?とニコニコと仁王に報告していた。
仁王はちらりとこちらに目線をずらして、「ほぉか。」なんて興味のない素振りだった。
いざ丸井の口から第三者に言われると無性に恥ずかしかった。
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