長編 | ナノ

04


この唯一の机がある窓際がテニスコートが良く見える特等席だったりするのは私だけの秘密。


ここでブン太が部活を終えるのを待ち、ファンと部員が帰って行くのを見てテニス部の部室へと向かう。








「ブン太、お疲れ様!
はい、いつものあげる。」
「ほんっと、疲れて死にそう…ってガムじゃん!いつもサンキューな!」

これも日課?かな。
部活で疲れたブン太は甘いものを欲しがる。

甘いもので肌身離さず持てるなんてことは出来ないから
たまにクッキーやチョコをあげるくらいで基本はブン太が好きなグリーンアップル味のガムを与えている。














―ガチャッ


部室内の奥にあるシャワールームのドアが開いた。

「あーーっ!!!!
丸井先輩、何食ってんスか?!」
「あ、赤也…?」

いきなり大声を上げた彼は二年生唯一のレギュラーにしてエースの゙切原 赤也゙くん


天然パーマの黒髪が濡れてシャワー室から出てきたので今までシャワーを浴びてたみたいだ。

「ズルイっスよ!丸井先輩だけ、俺にも下さいよー。」

ブン太の肩を掴んでただをこねている。
「だーー!るっせぇんだよ!!!バカ也のくせに。
名前、まだあるだろぃ?
バカ也に与えてやってくれないか?」

癇癪を起こしたように自分の肩から切原くんの腕を振り落とす。
しかし、バカ也ってなんスかバカ也ってと切原くんが再びブン太の肩を掴んで必死に肩を揺らしている。

その間にガムを取り出して切原くんに渡す。


「はい!どうそ。
切原くん、だよね?」
「!!!!
くれるんスか?まじっスか?
ありがとうございますっ!」

話しながら器用にガムをパクっと口に入れて満足気に笑っている。

「満足したならお前もう帰れ。
つーか、普段シャワー浴びずに遊びに行くくせになんでいるんだよぃ…。」
「えーー!!?丸井先輩忘れたんスかあ??
この前ゲーセンで今日ケーキバイキング奢ってくれるって言ったじゃないですか!」
「ゲーセン…ゲーセン…あ!
格闘勝負したときか!」

ブン太は思い出したのか、手をポンと叩き瞬時にしかめっ面になった。
そんな事はお構いなしに切原くんは意気揚々とブン太の腕を掴む。

「思い出しました?
さあ、行きますよ!」
「ちょ、ちょっと待った。
それさあ…無しにしてくんね?
俺さ、コイツを独りに出来ねぇの。」

ブン太が私を親指で指しながら片方の手を顔の前に出して、いかにもスマンと言う体制になっている。

「え?あ、やだな〜。
私は大丈夫だよ?
ブン太、約束してたんでしょー行って来なよ!」

手を振りながらニコリと笑った。
私のせいでブン太が約束破りになるのは嫌だし、一人になっても何かあるわけでもない。

「ばっか!
お前残して遊べるかっつーの。
時間も時間だし、家まで送る。」
「ブン太がそこまでする必要はないよ。」
「けどよ…」

遠慮する私と渋るブン太。埒があかない。
そんな私たちを見かねたのか切原くんが間に入って

「じゃあ…三人で行きません?!」

と発案してきた。
ファンが怖いので全力で遠慮したいけど、どうもブン太は乗り気になったようだった。

「三人…?確かにそれなら良いかもな!
二人さえ良いならだけどよぃ。」
「全然良いッスよ!
改めて紹介してくださいね?丸井先輩!」

二人にそんな笑顔で言われたら断れる訳がない…

「私は構わないよ?」
「よっしゃ!あざーす!」
ガッツポーズで喜ぶ切原くんを見ると自然の頬が緩む。


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