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「マジ?良いな、氷帝。 金持ち羨ましいぜぃ…。」 「今の体制になったのは跡部と顧問のおかげみたいだから、偉大と言うか独裁者と言うか…。」
跡部と派手な顧問を浮かべて遠い目をした。
あの二人ならある意味で世界がとれそうな気がする。
「ま、試合は俺が勝つけどな!」 「うん。 負けないでね?」 「任せろぃ。」 丸井は自信に溢れる顔でトンと手で胸を叩く。
自分がマネージャーしてる以上、必ず勝って欲しくて応援の言葉をかけた。 それに対して丸井はニカッと笑ってガムを膨らませた。
なんか、丸井って可愛いかも…なんて思ってしまった。
「ん?他の連中は帰るみたいだな。」 言われて丸井の視線の先を見ればぞろぞろと部室から出て来るレギュラーと…
桜井さん。
「やっぱ今日も真田が送るみてぇだな。」 「…うん。」
桜井さんと弦一郎に視線を向ける。 何かを話ながら門に向かっているみたいだった。
あまりその姿を見たくなくて、俯き気味に頷いた。
羨ましい反面、やっぱ憎い。
「…ケーキ食いに行くか?」 「ぶっ!どこまでケーキ好きなの?」
ポツリと心配そうな声色で尋ねる丸井に思わず笑ってしまう。
この前もケーキだった。 彼はどれほどケーキにこだわるのだろうか、そう思えばますます笑いが止まらない。
「なっ…! 良いだろぃ、甘いもんは疲れに良いんだし。」 「あ、うん。 そうだけど…この前もケーキだったのに。 しかも丸井は食べ過ぎなんだよね。」
ぷい、と顔をそむけて拗ねた様子がまた可愛らしくて笑いは止まらない。
笑いすぎてお腹が痛いし、喋ると苦しい。
「ったく。 じゃあ、他に行きたいとこある?」 「ん?ないない! てか、あんまり丸井といたら勘違いされちゃうし。」
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