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跡部に言われた通りに部室に行けばふんわりとした良い香りのタオルとドリンクが人数分用意されていた。
本来は平もレギュラーもセルフで取りに来るらしい。
とりあえず頼まれたレギュラー分だけ籠にのせてコートに持って行った。
「持って来たか。 よし、お前ェら休憩だ! レギュラー陣のみ俺様の近くに集合だ。」
跡部が声をかけるとキリの良いとこでそれぞれ休憩に入っていく。
平は部室に向かって行き、レギュラーはこちらに歩み寄る。
「なんや、名字やん。 どないしたん?」 「久しぶり、忍足君。 練習試合の資料を届けに来たら捕まったの。」
ちらりと根源に視線を向ければ素知らぬ顔で樺地君と会話していた。
忍足君もそちらに目を向ける。
「なるほどな。 さすが、強引やな。」 「名字!ドリンク、ドリンク!」 「はい。」
呆れたように笑った忍足君を押し退け向日君が走りよって催促してきた。
すかさずドリンクを手渡し、忍足君にも忘れずに渡した。
ボトルから口を話した忍足君は 「マネージャーからの手渡しはえぇもんやな」 なんて言って微笑んだものだから 「何より私みたいな美女だと余計に嬉しいでしょ?」 と返しておいた。
「…せ、せやな。 美女マネージャーなら居るだけで華やわ、なあ?岳人。」 「お、おう。 そういや聞いたぜ、立海に新しく可愛いマネージャーが入ったんだろ?」 二人揃って目を泳がせながら話題を変えてきた。
氷帝も中々情報が早いらしい。
「まあ…」 「あの真田に告白までしたんだろ?」
私が口を開けようとしたら 忍足君でも向日君でもない声がした。
視線を向ければ帽子を脱ぎながら来る宍戸君と鳳君。
声の主は宍戸君と捉えて良いと思う。
「お疲れ様。」 と、二人にもドリンクを渡した。
「あの真田に?勇者だなー…。」 「なんや偉い変わり者やけど、有名な可愛い子ちゃんらしいやん。」
向日君は感心したように頷き、忍足君は思い出すように言った。
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