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放課後、一度軽い流れの説明を桜井さんに話した。
マネージャーとして桜井さんは信頼出来る後輩だとは思うからそれは安心出来る。
桜井さんは必死にメモをとって確認もして来た。
幸村君も手助けすると言っていたから問題はない。
そして今、一人寂しく氷帝学園の門前にいる。
とりあえずテニスコートに向かってる最中に良く良く思い返せば 氷帝は立海より遥かにファンがコートを囲み色めいていたはず。
部長が部長なので煽りはしても止めはしていなかった。
嫌な気分になりながら近づけば予想通り、素晴らしいくらいの見学者。
それは氷帝だけに留まらず他校のファンもちらほら見える。
コートの様子すら見えない状況下では下手に近寄れない。 けれど近寄らなければ、書類が渡せないので仕方なしにコートの入り口へ向かった。
コートの入り口は部長の牽制からか、さすがにファンはいなかったのが救いだった。
入り口から入ってそのまま氷帝の部長の姿を捜した。
「おい、そこのお前。」
入り口を入ってすぐの場所でキョロキョロと見渡していると、後方…つまり入り口から声をかけられた。
恐らく部員、怪しいやつだと思われていると予測出来る。
「あの、怪しい者ではないんです! 立海大テニス部のマネージャーで資料を届けに来ただけでして…。」
振り向きざまに一気に話す。 疑われて放り出されたら非常に困るし。
しかし、振り向けば良く知った顔があって先ほどの自分の行動を恥じた。 「馬鹿だろ、お前。」
私を馬鹿にした表情を浮かべていたのは まさに今から用事がある部長、跡部 景吾だった。
「いや、放り出されたら困ると思ったんだって。」 「はっ。」
むっとして言えば肩をラケットで叩きながら鼻で笑われた。
「まあ、ちょうど良かった。
これが資料ね。 じゃあ私は帰…、え?」
資料を手渡し軽やかに立海に戻ろうと跡部を横切ろうとすれば 跡部に腕をパシッと音を立てて捕まれた。
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