長編 | ナノ

10


丸井は新たにケーキを五つのせて席に座った。

「まあでも、まさか名字が真田に惚れてるとは思わなかったな。」



まさかの言葉に紅茶を飲んでいたために思わずむせた。

「ゴホッゴホッ!
な、なななな?!」

丸井を見れば
淡々と述べた言葉は本人にとってはどうでも良いのだろう、ケーキを次々と自分の胃に入れていた。





「慌てすぎだってーの。渚が真田に告ってから様子おかしかったし、
渚と真田が帰ってるとこ見てるお前見たら誰でも分かるぜぃ?」

そんなに分かりやすい態度だったのだろうか?

いやいや、それより鋭いとは言え丸井ですら分かったなら
部内のほとんどがわかったことになるんじゃ…。













「…そんなに分かりやすかった、かな?」
「おう。」

恥ずかしさのあまり俯いたまま訪ねると即答された。


「真田って意外とモテんだなー。」
丸井はそんな暢気な事を言いながらケーキを食べるのを止めない。

「丸井。」
「んあ?」
「わ、私が弦一郎の事が好きって他に誰が気づいてる?」









若干目が合わせずらくて、視線を丸井の胸元付近に落ち着かせる。

丸井は一旦食べるのを止めてんー…と少し考える素振りを見せる。

「仁王は確実知ってるだろうな。
真田や赤也はともかく他の連中も薄々気づいてるぜぃ、
後は幸村君が微妙、気付いてそうだけど行動的に気付いてねぇのかな?」

確かに丸井の言う通り。
基本的に皆洞察力に優れてる。


恋に疎い真田や赤也をのぞけばレギュラーは確実わかってる。

だから、幸村君が二人をくっつけようとしてるのは確実に故意。




私が弦一郎の事が好きって知っててやってるなら酷い人。















「ね、丸井。」
「なんだよ?」
「私が弦一郎の事好きって他言無用ね?
私、他の人にもシラ切るから。」
「?まあ、別に構わねぇけど。」

にこっと笑う私に、丸井は不思議そうにしながらも肯定してくれた。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -