長編 | ナノ

08


部活の終わりはいつも幸村君の号令でくくる。

もちろんマネージャーも部員も終わった後にもやる事はある。


「集合!
今日はこれで終わる。
いつものように後片付けを頼むよ。」


幸村君が部室に向かうのを合図に各々がすべきことに向かう。













1年は球拾い
2年は整備
3年は道具の片付け
マネージャーは洗い物や部員のフォローにまわる。


幸村君たちレギュラーはミーティング。
だから大体部活が終わっても30分は居残り。

レギュラーのミーティングは最低1時間に及ぶ。








マネージャーである私はやる事が終わればミーティング参加。


例外はなく、今日に至っては桜井さんがいたおかげでマネージャー業の仕事は終わっていた。


そのため、すぐに桜井さんを連れて幸村君の後を追って部室に向かった。
















今回のミーティングは珍しく40分ほどの軽いもので、ミーティングが終わってからは桜井さんに対しての質問責めの時間となっていた。

レギュラー陣の中でも仁王、丸井、赤也は既に"渚"と呼び捨て。
良く良く聞いていたら幸村君までがそう呼んでいて、結構ショックだった。









しまいには
「あ、そうだ。

渚ってここから遠いんだよね。
真田が近いね、送ってあげなよ。」




そう、幸村君が弦一郎に向かってにっこりと笑った。



…私もいつも一人でこの時間より遅くに帰っても知らん顔だったくせに。




残念ながら私と弦一郎の家は近いわけではなかった。
それに、わざわざ幸村君が桜井さんと弦一郎を一緒に帰らそうと言った意図がわからない。





















「む?俺がか?」
「そう。
本当に近いんだよ?君ら。
10分前後の距離。
真田の家よりもっと奥だけど。」

「ふむ…。分かった。
俺が責任持って送ろう。」












あぁ、なんだってそんなに二人をくっつけようとするの?

私が弦一郎を好きって誰も知らないけれど、今日会ったばかりの彼女にそこまでする必要ある?




やっぱり彼女が可愛いからなの?


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