07
「ジャッカル!」 「おわっ!?なんだ名字か。」 「なんだ、じゃないわよ。 桜井さん紹介したいからあそこで媚売ってる丸井と赤也を連れ戻して。」
「あぁ、少し待ってろ。」
フェンスより少し離れた場所で呆れて見ていたジャッカルを捕まえて二人を頼んだ。
ファンに近付くとやっかいだから。
「連れて来たぜ。」
ジャッカルの後ろからお菓子をぶら下げガムを膨らませた丸井と 私を見て安堵したのような表情を浮かべた赤也が来た。
「桜井さん。 こっち、体力自慢のジャッカル桑原。 ガムを噛んでるのがボレーを得意とする丸井 ブン太。 この子がうちのエースの切原 赤也。」
紹介しつつ三人にそれぞれドリンクを手渡した。
「あ、切原くんってレギュラーなんだ…。」
メモを取る顔をあげて意外そうに呟く桜井さんを赤也はむっとした顔で見る。
「なんだよ、マジで知らなかったのかよ?」 「だって真田先輩しか見えなかったんだもん。」
二人の会話からして二人は特に親しくもないがクラスメートらしかった。
なんか密かに二人の雰囲気がお似合いで可愛らしいと感じたり。
「ほら、おしゃべりは後で。まだ平部員の紹介があるんだよ?」
「えー…もっと渚と話してぇースよ!」 「赤也?」 「…すみません。」
駄々をこねだす前に赤也に睨みをきかせてから ひらひらと手をふる丸井を横目に桜井さんを連れて他の平部員も紹介していく。
二年はもちろん、一年も三年も以前から可愛らしい桜井さんを知ってたらしく大半の部員は目を輝かせてまたもや歓迎の言葉を口にしていた。
全員にドリンクを渡し終えてから私達は次の仕事に取りかかった。
それからは部活を終えるまで私達は無駄話は一切しなかった。
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