03
噂が広まるのは早いもので 今朝のやりとりは学校の8割の人間が知ることとなった。
さらに、昼休みに幸村君が仁王や丸井や私がいるクラスを訪ねて爆弾発言を言ってくれたおかげで更に騒動となった。
私が恐れいた事が次々と現実化していく…―――。
<今朝の彼女、桜井 渚にマネージャーになってもらうことにしたからよろしく。>
今まで、三年弱の間のマネージャー業は私一人で問題なかったのに。
私のマネージャーとしてのポジション、弦一郎の隣のポジションも取られてしまう感覚に襲われた。
…嫌。
私から全て取らないで。
弦一郎は私の支えなの。
部活は私の居場所なの。
あなたは可愛らしい容姿があるじゃない…。
私の心の拠り所を取らないで…っ。
「名字?大丈夫かよぃ?」 「…え?」 「顔色が悪いのぅ…」
幸村君が去ってから、黒い気持ちにもやもやして呆けていたらしく 丸井に声をかけられ、顔をあげれば心配そうな二人。
「あ…大丈夫だよ! ちょっと考え事してただけだから。」 「なら良か。 無理はすんるんじゃなかよ?」 「うん。」
丸井に仁王は女遊びが激しいせいか元々なのか、勘が鋭い。
気を付けないと心配させちゃうし、この感情がバレてしまう。
そう思った私はふらりと授業をサボり屋上へ向かった。
けれど先客がいた、衣服が乱れた部活の可愛らしい後輩。
「あれ、名字先輩? サボりっスかあ?」 「まあね。 …赤也はまた遊んでたのね?」
「へへっ、弁当くれた先輩とヤッちゃいました。 そこそこ綺麗でしたし、良かったッスよ。」 「そんな事まで聞いてないわ。」
丸井や仁王に感化され、同じように女遊びを繰り返す二年生にしてエースの切原 赤也。
にこにこ笑って至極幸せそうに感想を言い放つ。
そんな彼にため息をつく。
|